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2009年11月24日 『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』Q&A

kjkqa_1.jpg 11月24日有楽町朝日ホールにて、特別招待作品である『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』が上映された。これがワールドプレミア上映となるこの作品。上映後には、大森立嗣監督と主演の松田翔太さん、高良健吾さん、安藤サクラさんをゲストとして迎え、観客を交えてのQ&Aセッションが行われた。ステージにゲストが登場すると、会場は熱気と緊張感で最高潮に盛り上がり、これからの日本映画を背負う監督と若き俳優たちに、熱い視線と多くの質問が寄せられた。

まず大森監督が、「本日が世界初上映になりますが、これからもみなさん応援してください。今日はありがとうございました」と挨拶し、続いて、「この映画に出演できたことを誇りに思いますし、監督に感謝しています」(松田さん)、「今日は来ていただいて、ありがとうございます。この作品に出れて本当に嬉しいです」(高良さん)と、一言ずつ心境を語った。そして、昨年も『愛のむきだし』の舞台挨拶で来場した安藤さんが、やや緊張気味の三人をほぐすように笑顔を見せながら、「今日は嬉しく思います。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。

kjkqa_2.jpg 質疑応答に入ると、早速、客席の男性から監督に、「脚本は何を元に考えついたのか」という質問が挙がった。「前の作品で施設を舞台にしようと、児童養護施設を取材していました。僕の友達でも施設にいた人がいて、その人が文章を書いていたので、それを元に僕が脚本に起こした、という感じです」と大森監督。また、最後に流れていた歌がとても印象的だったという感想に、監督は、「脚本には『マイ・ウェイ』の詩を書いていたのですが、音楽プロデューサーが曲を選んでくれて、偶然僕が見つけた歌詞をつけました」と、そのいきさつを語った。

大森監督曰く、主役三人の配役については、初めから決めていたとうわけではなく、順々に決まっていったとのこと。林 加奈子東京フィルメックスディレクターが、「現場もこんな緊張した雰囲気だったんですか」と訊ねると、「そんなことないよね」という監督に対し、松田さんが「でも監督は現場では全然違う表情でした。現場だとめちゃくちゃ怖かったです」と当時の様子を明かしてくれた。

客席の女性から出演者にたいして、「演じた役柄に、共感できる部分はありましたか」という質問が寄せられると、松田さんは暫らく考えて、「抜け出したいという気持ちですかね。そのために、いろいろやってみるけど、やり方がわからないというようなところが同じかもしれない」とコメント。高良さんは「ジュンが感じていた不安ですかね。あとは、翔太君のことを本当に兄貴だと思って慕っていましたし。ビビりながらやっていきたいというところも」と、比較的自然に演じられていた様子。一方で安藤さんは、「共通点とか、共感できるところはないです!」の一言で、会場の笑いを誘った。すると、高良さんが、「(安藤さんは)共通点とかそういうのを探してやってないと思いました」と暴露し、会場は爆笑で包まれた。

kjkqa_3.jpg また別の女性から、「バスのシーンのケンタとジュンの笑顔がすごく良かったですが、そのシーンはどういった演出だったのでしょうか」と質問されると、監督は、「(養護施設のみなさんに)撮影の前に会って慣れてもらったんですが、翔太たちはあっという間に仲良くなってしまった」。松田さんも、「普通に遊んで、ご飯も一緒に食べたりしました。撮影前に友達になっていたので、演技をしたという覚えはないです。あのような施設に行くのは初めてだったのですが、心が洗われるというか、自分自身とてもリラックスできて撮影に入れました」と語り、隣の高良さんにも「(そんな感じだったよ)ね?」と同意を求めた。

クランクインの時にちょうど梅雨に入った時期だったそうで、監督はその点について苦労したという。撮影時に苦労したことや、気をつけた点について話が及ぶと、松田さんは、「いろんな情報を頭に入れてしまっていて、いろいろ考えてしまったので、それを止めることが難しかったです。例えば、旅の理由とか関係性とか、考えれば考えるほどやりづらくなっちゃって」と振り返り、高良さんとの自然な芝居を楽しむよう心がけたという。高良さんも「舞台や映画を観ていて、セリフを聞いてない時があるんですが、それでもわかるんですね。それは、役者と役者の間にある空気のせいであると思うんです。だから、その場にジュンとしていること、そして周りにある要素や雰囲気を感じるようにしました」と答えた。安藤さんは、「大変だったことは、監督に太って欲しいと言われて、6~7キロ太って腰
が痛くなったことですね。あと、健吾君のバイクの後ろに乗るのは、とても怖かったです(笑)。へたくそなダンスを踊るシーンは苦労しました。ダンスは何年かずっとやってきてたので、ヘタなダンスというものがよくわからなくて、恥ずかしいし、難しかったです」と話し、会場からは、ねぎらいをこめた(?)拍手が起こった。

最後に林ディレクターが「来年の夏の日本公開の前までに、いろんな映画祭で上映され、世界に羽ばたいていく素晴らしい作品だと思います」と締めくくり、監督と出演者三人は、客席からの温かい拍手で見送られて退場した。

2010年初夏、新宿ピカデリー、渋谷ユーロスペースにて公開決定している。


(取材・文:鈴木自子)

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投稿者 FILMeX : 2009年11月24日 23:00



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