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2008年11月24日 『ノン子36歳(家事手伝い)』舞台挨拶

nonco_stage_1.jpg 11月24日、コンペティション作品である『ノン子36歳(家事手伝い)』が有楽町朝日ホールにて上映された。上映に先がけて、熊切和嘉監督、出演者の坂井真紀さん、星野源さんによる舞台挨拶が行われた。林 加奈子東京フィルメックスディレクター司会のもと、熊切監督と出演者との楽しく温かい撮影エピソードが披露された。

『鬼畜大宴会』でPFFアワード97準グランプリ、イタリア・タオルミナ映画祭グランプリを受賞した熊切監督の7作目となるこの作品は、熊切監督が手掛ける初の女性映画でもある。今回熊切監督が36歳の女性を描きたいと思ったきっかけはなんだったのだろうか。
「36歳ということよりも、単純に僕も宇治田(脚本担当)も年上の女性が好きだったので、星野源君の視点から女性を描きたかった」と34歳の監督からみて年上の女性を描きたかったことを明かした。

主役のノン子を演じる坂井真紀さんは『青春☆金属バット』、『フリージア』に続いて熊切作品は3作目。本作出演に当たり、「大変だったこと」について問われると、坂井さんは「幸福なことに大変なことはありませんで、楽しいことばかりでした。ただ、準備段階の打ち合わせで、ノン子はヘビースモーカーということで、彼女がなんのたばこを吸うかについては長い時間かけて話し合いました」長い議論の末、ノン子が吸うたばこの銘柄はどうなったのだろうか、ぜひ作品を見て確かめてもらいたい。

nonco_stage_2.jpg 熊切監督は三作品にわたるおつきあいである坂井さんは熊切監督について「初めて現場で会った時から、本当に(印象が)変わりません。シャイな方なので、目を見て話してくれないのですが、今回は少し慣れてきたのか、たくさんお話をしてくれるようになりました。」とコメント。その監督との会話の中で、「僕は今回人間を撮りたいんだ」と いう監督の言葉が大変印象に残ったと語る。坂井さんは「人間を撮る」という言葉を聞いて、「ちゃんと人間を演じたい」と感じたのだという。ノン子という一見ダメな人間を「撮りたい」監督と「演じたい」という坂井さんの二人の答えがこの作品の中にある。

林ディレクターから「36歳の女性の希望とも受け取れる存在」と紹介された、ノン子の恋人マサルを演じる星野さんには撮影の忘れられないエピソードを披露。「36歳女性の希望ですか…それは(自分ではなく)松山ケンイチさんだと思いますが」と答えると、会場からどっと笑いが沸く。「坂井さんもおっしゃっていましたが、撮影は楽しくって、熊切監督が本当に楽しそうでした。一カット撮るごとに“ヤッター”“ワーイ”って本当に子供みたいで、そういう人に見守られて芝居をする というのは、幸せなことだなと。全体を通して楽しい撮影でした」と監督と出演者との幸せな関係をマサルと同じやさしい笑顔で話していた。

最後に一番気合いの入ったシーンについて、熊切監督は「全体的に気合いを入れて撮ったんですが、今まであまりとったことがないシーンがありまして。それが、花畑のシーンです」と答えた。埼玉寄居と秩父で撮影され、美しい緑がふんだんに描かれている本作品だが、その中でもコスモスのゆれる花畑のシーンは注目である。

舞台挨拶から伝わる熊切監督と出演者の楽しく幸運な関係の中、制作された『ノン子36歳(家事手伝い)』。そのチームワークの良さが反映され、36歳家事手伝いという状況を卑下することなく、自分に素直にしなやかに生きるノン子と周辺の人々の関係が魅力的な作品となっている。

この作品は12月20日より銀座シネパトス、渋谷シネ・アミューズ(12/20よりヒューマントラストシネマ文化村通りと改称)、千葉劇場他、全国公開が決定している。

(取材・文:安藤文江)

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投稿者 FILMeX : 2008年11月24日 19:30


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