11月21日夜、丸の内カフェ倶楽部21号館において、第10回東京フィルメックスのオープニング・レセプションが催された。この日は明治大学アカデミーホールでの記念シンポジウム他、いくつかの上映が行われたが、本格的な開会式は翌日。前夜祭ともいうべき夜に、参加監督や審査員をはじめ、多くのゲストが訪れた。
まずは、林 加奈子東京フィルメックスディレクターが挨拶。
「お陰さまで、本日第10回東京フィルメックスの初日を迎えることができました。また、韓国映画ショーケースも初日を迎えました。ご協力くださった皆様に心より感謝を申し上げます」
続いて林ディレクターは、第10回記念シンポジウムにも登壇したオフィス北野の森昌行社長を紹介。第一回から東京フィルメックスをバックアップしてきた森さん。「正直なところ、この10年間、毎年いつまで続けられるんだろうと思っていました(笑)」としながらも、「この節目を迎えられたのもご協力いただいた皆様のお陰。小規模ではありますが、非常に力強い映画祭と自負しています。20周年に向けて、新たなスタートを切りたいと思います。第10回東京フィルメックスはこれから始まるところなのでいささか変かも知れませんが、ありがとうございました、と申し上げたい。そして、10周年おめでとうございます」と語った。
続いて挨拶に立ったのは審査委員長の崔洋一監督。
「今回審査委員長を務めるわけですが、一番大切なのは、審査員一同が新しい世界観と向き合うということだと思っています。その中でいかに自分自身と向き合い、作品がもたらしてくれる世界観と新鮮に出会うか―――審査する上で、そういった認識をめぐる熱い議論ができれば、と思っています。観客の方々と、映画に対するパッション、あるいはクールな論理性を共有しつつ、審査を行っていくことになるでしょう」
ここで、昨年の第9回東京フィルメックスにて『べガス』が上映されたアミール・ナデリ監督がサプライズ・ゲストとして登場した。今回、作品の上映はないが…
監督が「10の次には必ず11がある。フィルメックスも11回目を迎えられることと思います」と述べると、会場は歓声に包まれた。「毎回この映画祭で映画を見ると、新鮮な気持ちで、映画の世界や世の中が開かれていっている、と感じます」フィルメックスに参加するのは今回で4回目となるナデリ監督。今回の来日にはもうひとつ、特別な理由があるという。「実は以前から日本で映画を撮りたいと考えていて、今回そのロケハンをしているんです。その作品が完成したら、もちろんフィルメックスで上映したいと思っています」とさらに嬉しいサプライズ発言も。おなじみの「カット!」の一言と、満面の笑みでナデリ監督の挨拶が締めくくられると、参加ゲストは歓談の席に戻った。
コンペティション作品『息もできない』のヤン・イクチュン監督が、アニエスベー提供のスタッフTシャツを着て記念撮影する一幕も。「フィルメックスはカジュアルな映画祭」と林ディレクターが言う通り、日本や海外のさまざまなゲストたちがアットホームな雰囲気で言葉を交わし、映画の絆を深め合った。
(取材・文:花房佳代)
投稿者 FILMeX : 2009年11月21日 23:30