上映作品 - コンペティション

The World of Love(英題)

11月25日(火)21:05 -HTC

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11月29日(土)13:45 -朝日

ゲスト

ユン・ガウン(監督)、ソ・スビン(主演)

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韓国 / 2025 / 119分 /
監督:ユン・ガウン(YOON Ga-eun)
配給:ビターズ・エンド

ユン・ガウン監督の新作は、快活で物怖じしない17歳の女子高生ジュインが主人公。怒りと勢いに任せて口にした言葉がきっかけで校内に騒動を巻き起こし、匿名の手紙が届き始めたことから、彼女の平穏な日常が崩れていく。忘れたい過去に立ち向かい、自らの人生を取り戻そうとする少女の心の機微を繊細に描いたドラマ。

『わたしたち』で知られるユン・ガウン監督の6年ぶりの新作は、思春期の複雑な感情世界に深く分け入る、力強くも繊細な人間ドラマ。奔放で活発な振る舞いの裏で心に傷を抱える高校生ジュインを主人公に、彼女の過去の秘密が公になり、周囲の視線が変化する中で、彼女が自らの歴史とどう向き合い、どう乗り越えるかに焦点が当てられている。韓国語の原題でもある「世界の主人」という言葉が示唆しているのは、一人の複雑な人間が過去に定義されることなく、自らの物語を主人(韓国語の読みはジュイン)として力強く所有することだろう。本作では単なる被害者としての定型的な描写が徹底して避けられているとともに、悲痛な体験をした人への接し方の難しさや、当事者の反応が他者の期待と異なる場合に生じる摩擦についても丹念に描かれている。登場人物たちの内面的な葛藤や繊細な感情の機微が抑制的で観察的な演出によって引き出されており、物語の啓示的な瞬間をより力強く、心に響くものにしている。本作はトロント映画祭のプラットフォーム部門でプレミア上映され平遥映画祭で観客賞を受賞した。

監督:ユン・ガウン(YOON Ga-eun)

1982年ソウル生まれ。短編『Guest』(2011)が第34回クレルモン=フェラン国際短編映画祭でアジア映画初のグランプリ、短編『Sprout』(2013)は第64回ベルリン国際映画祭・ジェネレーションKプラス部門でクリスタル・ベア賞。初長編『わたしたち』(2016)は世界30以上の映画祭に招待され、第17回東京フィルメックス観客賞。続く『The House of Us』(2019)を含め、大人が見落としがちな問題を、子どもの視点でシンプルかつ深く描く作風で知られる。

監督ステートメント

私たちの人生は、ときにまったく予期せぬ出来事によって一変します。心に取り返しがつかない深い傷を負い、長年にわたって苦痛と絶望に苛まれることがあるのです。でも、なぜ永遠に痛み続ける傷もあれば、すぐに記憶の彼方へと消える傷があるのでしょう。同じ出来事を経験しても、なぜ果てしない絶望に陥る人がいる一方で、無限に成長を続けられる人がいるのでしょう。私たちを地獄に突き落とすのは、悲劇そのものなのか、それとも悲劇に対する私たちの受け止め方や姿勢なのか。

『The World of Love(英題)』は、並外れた勇気を持って、過去に縛られず自らの人生を生きようと決意した普通の人々が生む奇跡の物語です。人生に突如降りかかる悲劇を予見し、防ぐことは誰にもできません。けれども、その痛みを和らげ、傷とともに生き、より広い世界へと踏み出すことはできます。勇気を出して、自分にとっての真実を見つけ、それを言葉にできたら、誰も独りぼっちではなく、私たちはみな深く繋がっていることに気づけると信じています。そうして、永遠に残る傷を抱えながらも、私たちは、自分を支え、より深く広い世界へと力強く進むことができるのです。

いまこの瞬間にも、このシンプルな真実を身をもって証明しながら日々を懸命に生きている人々がいます。こうした本当のヒーローたちの物語がニュースで取り上げられることはありませんが、家族として、友人として、同僚として、私たちのすぐそばにいて、自らの人生を日々築いています。この映画に登場するジュインは、そんな私たちそのもの。大きな災難を経験した後も懸命に生きようとする、ごく普通の人間です。

この映画について多くの悩みを抱えていた時、梨花女子大学社会福祉学科のイ・ジソン教授のインタビューに出会いました。20代前半に不慮の事故で全身に大やけどを負い、長い療養生活を経て現在に至るまでの道のりを語ったもので、彼女の言葉のひとつひとつが私の心に深く響きました。なかでも特に、この映画の方向性を示してくれた言葉があります。「皆さんの人生に喜怒哀楽があるように、私の人生にもごく普通の喜怒哀楽があります。だから、特別視はしないでください」。この言葉を、私は今でもよく思い返しています。

上映スケジュール

11月25日(火)21:05 -

ヒューマントラストシネマ有楽町

チケット購入

11月29日(土)13:45 -

有楽町朝日ホール

ゲスト

ユン・ガウン(監督)、ソ・スビン(主演)

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