上映作品 - コンペティション

しびれ
/ NUMB

11月22日(土)15:20 -朝日

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内山拓也(監督)

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© 2025「しびれ」製作委員会

日本 / 2025 / 118分 /
監督:内山拓也(UCHIYAMA Takuya)
配給:NAKACHIKA PICTURES

日本海沿いの町に暮らす少年は、暴君のようだった父の影響で言葉を発しない。今は、母とともに暮らしているが、水商売で稼ぐ彼女はほとんど家に帰らない。どこにも居場所がなかった少年は、父の行方を求めて生家を訪ねることを決める。そして、彼の運命は大きく揺らいでいく。

『佐々木、イン、マイマイン』(2020)で鮮烈な印象を残した内山拓也監督が、自身の故郷である新潟県を舞台に挑んだ4作目の長編作品『しびれ』は、監督自身の自伝的な要素を深く刻み込んだ痛切な母子の物語だ。本作では、居場所とアイデンティティを模索する少年が、息をのむような大きな愛を知るまでの年月が、憎くて愛しい母親との関係性の変遷を通して描かれている。彼の母親は夜の仕事に従事し、男に貢いで尽くすという自滅的な愛の形しか知らず、結果として息子へのネグレクトを繰り返していた。また、少年時代に同居していた父親に抗えなかった時間が、彼から文字通り「声」を奪い去ってしまい、彼はその「沈黙」を抱えたまま、その後の人生と向き合うことになる。物語は少年が離散した父親との再会を経て、過去の痛みに向き合い、自身の「声」を取り戻すまでの魂の救済の旅路を追う。全編にわたる手持ちカメラによる生々しい映像は、母親の不在による現実的な苦難、出口の見えない家族の闇を鋭く炙り出しながらも、彼の内に秘めた葛藤と、見据えたその先の光を捉えている。

© 2025「しびれ」製作委員会

監督:内山拓也(UCHIYAMA Takuya)

1992年生まれ、新潟県出身。文化服装学院でファッションを学び、スタイリストを経て映画の道へ進む。初監督映画『ヴァニタス』(2016)で PFFアワード 2016観客賞を受賞、香港映画祭に出品される。
東京国際映画祭で上映された『佐々木、イン、マイマイン』(2020)では、2020年度新藤兼人賞ほか、国内の主要な新人監督賞を総なめにした。商業長編デビュー作『若き見知らぬ者たち』(2024)は、フランス、韓国、香港、日本による 4 カ国共同製作。MV、短編、広告など様々な映像作品を手掛けている。

監督ステートメント

小さな世界の大きな物語です。

少年の眼差しは、何を捉えているのか。
映像と生活音、自然の音が重なり合う。
ゆれる感情と共に、海、風、雨、雪。冬の新潟をフィルムに焼き付けました。

過ぎ去っていく日常の中で、息をすること、心の切なさ、恐ろしさ、時にある喜び、それらの空気を肌で感じること。

この映画を通して、見落としがちな日々の美しい断片に気づいたり、生活や人との関わりが愛おしく感じてもらえたらと願いました。

「しびれ」は私にとって人生をやり直すための確かな基盤となったように、人生は何度でもやり直せ、手遅れなことはない、 再び人生を歩み出そうとするすべての人々に、それでも前を向きたいと思うすべての人々に、そして存在のない子供たちに、この映画を捧げます。

上映スケジュール

11月22日(土)15:20 -

有楽町朝日ホール

ゲスト

内山拓也(監督)

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