東京フィルメックス・コンペティション
© AKANGA FILM ASIA_GRACE BAEY
シンガポール、台湾、フランス、アメリカ / 2024 / 126分監督:ヨー・シュウホァ( YEO Siew Hua )
家族でのピクニックのビデオ映像をじっくりと見ている若い父親。すぐに彼の幼い娘が行方不明になっているということが分かる。このビデオは、若い両親が持っている娘の最新の映像のようだ。程なくして、行方不明の娘の映像が入ったDVDが家族の玄関先に届き始める。誰かがこの家族を長い間監視しており、おそらく娘を取り戻す鍵を握っていることが明らかになる……。ヨー・シュウホァの『幻土』に続く新作長編『黙視録』は、こうして犯罪スリラーとして幕を開ける。シンガポール警察が所有する膨大な数のCCTV映像が駆使され、比較的あっけなく事件は解決するのだが、すでにその頃にはこの作品はスリラーの枠組みをあっさりと超え、現代の孤立と監視文化についての、巧妙で、陰鬱で、瞑想的で、最終的には不可解さを含んだより多層的な物語へと変質を遂げている。大量監視の時代に見る、見られるということはどういうことなのか。私たちの身近にあるこの大きな問いを考察することで、この作品は人間の孤独や脆さを見つめている。ヴェネチア映画祭コンペティション部門で上映。
監督:ヨー・シュウホァ( YEO Siew Hua )
2018年の監督作『幻土』は第71回ロカルノ映画祭で最高賞である金豹賞を受賞し、第92回アカデミー賞にシンガポール代表としてエントリーされ、第56回金馬奨で最優秀脚本賞を受賞した。 また、長編ドキュメンタリーシリーズ「THE OBS: A SINGAPORE STORY」のヘッドライターとして参加。ニー・アン・ポリテクニックで映画について学び、シンガポール国立大学で哲学を学んだ。
11月25日(月)18:25 -
丸の内TOEI
ゲスト
ヨー・シュウホァ(監督)、浦田秀穂(撮影)
11月27日(水)10:00 -