上映作品 - コンペティション

枯れ葉
/ Dry Leaf

11月24日(月)10:10 -朝日

ゲスト

ギオルギ・コベリゼ(音楽、音響)

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ドイツ、ジョージア / 2025 / 186分 /
監督:アレクサンドレ・コベリゼ(Alexandre KOBERIDZE)

ジョージアの田園地帯を舞台に、娘リサの突然の失踪の謎を追う父イラクリの捜索の旅を追う。旅の相棒は、なぜか姿が目に見えないリサの友人レヴァニ。手がかりを求めて地方を彷徨(さまよ)う過程で、二人は様々な風景や見知らぬ人々に出会う。

スポーツ写真家の娘リサが姿を消し、父イラクリは彼女の仕事仲間であるレヴァニ(声のみで不可視の存在)と共に、彼女が最後に追っていたジョージアの辺境のサッカー場を巡る捜索の旅に出る。深い不安を抱えながらも、彼らの旅はどこか瞑想的で、道中で出会う様々な人々の声や、風景の断片を拾い集めていく……。本作は前作『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』で世界的な評価を確立したジョージアの俊英アレクサンドル・コベリゼの3作目の長編監督作。この作品の最も特異な点は、全編が2010年代前半の古い携帯電話のカメラで撮影されていることで、そのローファイな映像を通して浮かび上がる、幽玄で美しい田舎の景色は、次第に過去と現在の境界を曖昧にし、観客を現実と魔術的リアリズムが混在する世界へと誘っていく。個人の探求が、国民的な記憶やその変容への問いにまで拡張された、今年最も大胆で独創的な映画の一つである。ロカルノ映画祭のコンペティション部門でプレミア上映され、スペシャル・メンションを受けた。

監督:アレクサンドレ・コベリゼ(Alexandre KOBERIDZE)

1984年ジョージア、トビリシ生まれ。ドイツ映画テレビアカデミー(DFFB)で映画演出を学ぶ。初長編『Let Summer Never Come Again』(2017)がマルセイユ国際映画祭国際コンペティションのグランプリなどを受賞。卒業制作『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう(フィルメックス上映題:見上げた空に何が見える?)』(2021)はベルリン映画祭コンペティションで上映され国際映画批評家連盟賞、第22回東京フィルメックスで最優秀作品賞に選ばれた。

監督ステートメント

1950年代の終わり、ブラジルのサッカー選手ジジが「枯れ葉」と呼ばれるキック技術を編み出しました。樹木から落ちた枯れ葉がどこに着地するのか、人の目が正確には追えないように、このキックも、ゴールキーパーが球筋を予測できません。そして実は、蹴った本人にもわからないのです。

木の葉が舞い落ちる様子を思い出してみてください。向きや速度をどんな風に変えるのか。まっすぐ地面に向かうかと思えば、突然まったく違う動きになる。ふいにふわっと舞い上がったと思うと、また別の方向へ飛んでいく。その動きは、高さや風、湿度、さらに私たちの知らない無数の要因で変化していきます。地面に落下した後も、木の葉の旅は終わりません。風に飛ばされ、通学途中の男の子に拾われ、別の場所に運ばれる。あるいは他の何千枚もの葉と一緒に袋に詰められ、焼かれてしまうこともあるのです。

ジジが蹴ったボールと同様に、いったん落ち始めたものがどこに行くのかわかりません。それは、この映画の登場人物たちにも当てはまります。彼らにゴールはあるけれど、そこにたどり着く道筋はわからない。だから、状況に身を委ねるのです。私たち、つまりこの映画を作った少人数のチームも同じです。風が吹くまま落ちるまま、身を委ねていれば、きっと思いもよらぬ場所に行けるはず。そんな”落下”の旅はいまも続き、もう元に戻ることはできません。

上映スケジュール

11月24日(月)10:10 -

有楽町朝日ホール

ゲスト

ギオルギ・コベリゼ(音楽、音響)

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