東京フィルメックス・コンペティション
中国、アメリカ、フランス、シンガポール / 2024 / 98分監督:チウ・ヤン( QIU Yang )
40代の主婦、ツァイは人生の目的を失い、大きな精神的崩壊の瀬戸際にいる。映画の冒頭で、彼女は不運な形で年配の女性に怪我を負わせてしまい、入院したその女性の家族から賠償を求められる。この出来事を導入として、私たちは彼女の置かれている状況を目にしていく。夫とは離婚手続き中で、反抗期の娘との間にも深い溝がある。同居中の義母はどうやら認知症を患っており、疎遠になって久しい実父は死期が近いようだ。彼女は、自分の上にのしかかる重荷や憂鬱から逃れようともがいている。この作品は、こうしたツァイの「中年の危機」的状況、ひいては中国の中流階級家庭の機能不全を、4:3の息苦しいフレーミングと撮影監督のコンスタンツェ・シュミットによる美しく憂鬱なイメージによって極めて効果的に語る。映画初出演だという主演のユウ・アイアルの抑えた演技も素晴らしい。カンヌ映画祭の短編部門でパルムドールを受賞した「A Gentle Night」(17)等、一連の短編作品で高い評価を得てきた新鋭チウ・ヤンの長編デビュー作。ベルリン映画祭エンカウンターズ部門で初上映された。
監督:チウ・ヤン( QIU Yang )
中国常州市で生まれ育ち、オーストラリアのビクトリア芸術大学にて映画演出を学ぶ。 短編監督作「She Runs」は第58回カンヌ映画祭批評家週間にて最優秀短編作品賞を受賞。また、短編作『静かな夜』は第70回カンヌ映画祭で上映され、最優秀短編作品賞を受賞。 長編デビュー作である『空室の女』はベルリン映画祭エンカウンターズ部門にて上映された。
11月24日(日)21:30 -
ヒューマントラストシネマ有楽町
11月26日(火)15:40 -
丸の内TOEI
ゲスト
チウ・ヤン(監督)