メイド・イン・ジャパン
台湾、日本 / 2024 / 110分監督:ルオ・イーシャン( LO Yi-Shan )配給:ドキュメンタリー・ドリームセンター
本作は、ルオ・イーシャン監督の親友チュンが、2017年に恋人のユエとネパールでのトレッキング中に亡くなったことに端を発している。チュンとユエは降雪のために47日間山中の洞窟に閉じ込められたが、チュンは救出の3日前に亡くなり、ユエだけが生き残る。台湾に戻ったユエはチュンと交わした約束を、元々このネパール旅行に加わる予定だったイーシャンに打ち明ける。生き残った者は自分の体験を語らなければならないという約束だ。その言葉に応えるため、イーシャンはカメラを手に取りネパールへ向かい、チュンの足跡を辿る旅に出る…。この作品は一人の若者が初めて経験する深い喪失と格闘し、その意味を探求する過程を辿るドキュメンタリーであり、同時に成長物語でもある。あくまでも主観に徹した一人称の作品だが、映像のフレーミングやその選択、そして編集のリズムにも非凡なセンスを感じさせる。親友が亡くなる前に残した手紙の使い方も効果的で、死者と生存者の間の複雑な関係を親密に浮かび上がらせていく。ニヨンの国際映画祭「ヴィジョン・デュ・レール」でワールドプレミア上映された。山形県の豪雪地で作品の構成・編集を再考するレジデンシーに参加した「メイド・イン・ジャパン」である。
監督:ルオ・イーシャン( LO Yi-Shan )
台湾生まれ。現代文学、文化人類学、社会科学に影響を受け、大学時代からフリーランスのライター、映画評論家として活動。10代の頃から台湾の亜熱帯山林にみられる人間と他の生き物の共存関係にひきつけられ、野性の美しさと複雑さを描くことは映画制作の動機となってきた。『雪解けのあと(仮)』は初の長編ドキュメンタリー作品である。
11月27日(水)15:20 -
丸の内TOEI
ゲスト
ルオ・イーシャン(監督)