上映作品

『熱帯雨』
Wet Season

Filmmakers’ Homecoming

作品詳細

シンガポール、台湾 / 2019 / 103分
監督:アンソニー・チェン ( Anthony CHEN )

「イロイロ/ぬくもりの記憶」以来となるアンソニー・チェン待望の監督第2作。前作のキャストを再び起用し、中学生と担任の女性教師の間の感情の揺れ動きを繊細に描く。トロント映画祭のプラットホーム部門でワールド・プレミア上映された。日本では東京フィルメックスのコンペティション部門で初上映。

監督:アンソニー・チェン ( Anthony CHEN )

1984年、シンガポールに生まれる。義安理工学院で映画を学び、卒業制作として短編「G-23」(04)を監督。この作品は多くの国際映画祭で上映された。続く「Ah Ma」(07)はカンヌ映画祭短編コンペティションでスペシャル・メンションとして表彰。「Haze」(08)はベルリン映画祭短編コンペティションに選ばれた。その後、英国の国立映画テレビ学校で映画を学び、2010年に卒業。現在はシンガポールと英国をベースに活動する。その他の短編作品に「Distance」(10)、「Lighthouse」(10)、「The Reunion Dinner」(11)がある。2010年、東京フィルメックスのNext Masters Tokyo(現・Talent Campus Tokyo)に参加。この時にプレゼンされ、最優秀企画賞を受賞した企画が長編デビュー作「イロイロ ぬくもりの記憶」(13)として結実し、カンヌ映画祭でカメラドール(新人賞)を受賞した他、台湾金馬奨で作品賞含む4部門を受賞、2013年の東京フィルメックスでも観客賞に輝いた。本作が長編第2作となる。

監督ステートメント

私はいつも女性のキャラクターを探求することに興味を持っている。監督デビュー作の『イロイロ ぬくもりの記憶』では、母性と母性本能を検証した。「熱帯雨』ではその探求を更に女性のアイデンティティへと進めた。

40代に差し掛かり、何とかして子供が欲しいと思っている女性が頭に浮かんだ。私は彼女のことを「エレガントでほとんど母親のような存在感を持っているが、それでも母親ではない」と書き記した。これが私がこだわっていた女性のキャラクターだ。現代的な働く女性と従順な妻という期待の前に立ちはだかり、プレッシャーを感じて自分を見失っている女性である。

私にとって「熱帯雨」は、結婚生活においても仕事においても認められておらず、自分自身を再定義し発見する旅の途上にある女性の繊細なポートレートだ。主人公のリンは自分の運命の犠牲者ではない。彼女が尊厳と優美さをもって人生の中で闘う時、彼女の中には静かな反発が存在する。

ここ数年、この企画は私にとってよりパーソナルなものとなっていた。私と妻とは家族を作るというチャレンジの中にあったからだ。注射、錠剤、通院。涙 、怒り、失望。これらは今となっては私が目撃してきた家族の儀式である。痛みと煩悶はあったものの、この経験が私のこの映画を作る決意を強固なものにしてくれたのだ。

上映スケジュール

11月12日(日)18:30 -

ヒューマントラストシネマ渋谷

11月13日(月)20:35 -

ヒューマントラストシネマ渋谷

note