上映作品

『見えるもの、見えざるもの』
The Seen and Unseen

Filmmakers’ Homecoming

作品詳細

インドネシア、オランダ、オーストラリア、カタール / 2017 / 86分
監督:カミラ・アンディニ ( Kamila Andini )

脳障害により病院のベッドに寝たきりの双子のきょうだいを看病する10歳の少女タントリ。そんな彼女の心は真夜中に解放される。ガリン・ヌグロホの娘カミラ・アンディニがバリ島の伝説をモチーフに作り上げた幻想譚。現実と幻想が混淆した神話的な世界が美しい。トロント映画祭のプラットフォーム部門にてプレミア上映。日本では東京フィルメックスのコンペティション部門で初上映され、最優秀作品賞を受賞した。

監督:カミラ・アンディニ ( Kamila Andini )

1986年、ジャカルタに生まれる。メルボルンのディーキン大学で社会学とメディア芸術を学ぶ。24歳の時に「鏡は嘘をつかない」(2011)で監督デビュー。同作品はベルリン映画祭を始め30以上の国際映画祭で上映され、日本でも劇場公開された。その後、女性の問題をテーマとする2本の短編映画「ディアナを見つめて」(2015)、「Memoria」(2016)を監督。映画監督としての活動の傍ら、環境映画祭INEFFESTを組織。また、カンヌ映画祭シネフォンダシオン主車の「レジデンス」プログラムに選抜された初めてのインドネシア人監督でもある。「見えるもの、見えざるもの」は長編第2作である。

監督ステートメント

「スカラ ニスカラ」はパリ島の人々にとって、良いことと悪いことが常に同居する人生そのものを表している。人生とは要はバランスなのだ。英語では「見えるものと見えざるもの」を意味するこの言葉はまた、見えるものすべてを信じて生きることと同時に、見えないものをもすべて信じて生きることを意味している。この言葉は私にとっても、インドネシア人として、またアジア人として、自分自身をかなり映し出している言葉だと思う。私たちは、宗教と文化、あるいは現実と神話といった2つの異なる極の間で生きる、心身一体的な民なのだ。私は映象的に、見えるものと見えざるものという言葉と戯れようと思った。双子の姉と弟の物語を通じて、この作品はあらゆる二元性について語っている。タントリの双子の弟、タントラは、重い病気のために入院することになる。その瞬間、タントリの心の中で何かが開き、それまで経験したことのなかった感情が芽生えてくる。彼女の日々は静寂に包まれ、そして彼女は自分の周りで沢山のことが起きていることを認識する。この映画は人生の様相について、そして、芸術そのものの様相についての作品だ。
現実主義とは何だろう?私の文化における現実とは超現実的なものだ。ある少女の、弟が死につつある中での日常生活を追うことを通して、私たちは彼女の感情の心身一体的な様相、つまり、そこに含まれる超現実を追体験することになるだろう。

上映スケジュール

11月5日(日)18:30 -

ヒューマントラストシネマ渋谷

11月8日(水)20:35 -

ヒューマントラストシネマ渋谷

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