上映作品 - 特別招待作品

市街戦
/ This City is A Battlefield

11月24日(月)21:05 -HTC

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11月30日(日)14:10 -朝日

ゲスト

モーリー・スリヤ(監督)

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インドネシア / 2025 / 117分 /
監督:モーリー・スリヤ(Mouly SURYA)

1946年のオランダ植民地支配下のジャカルタ。抵抗運動に身を投じているヴァイオリン教師のイサはオランダ人高官の暗殺任務を命じられる。しかし、協力者であり同志のハジルは、イサの妻ファティマと不倫関係にあった……。

1946年のインドネシア、ジャカルタ。1945年に日本が連合国に降伏した後、再びオランダの支配下に置かれたインドネシアは、独立を求める戦いの最中にあった。元兵士で抵抗運動の闘士であるイサは、ヴァイオリンの弟子であり抵抗運動の同志でもあるハジルと共に、オランダ人高官暗殺という重大な任務を担うことになる。しかし、外では優秀な闘士であるイサも、家庭内では過去のトラウマによる不全に悩む脆弱な夫だった。そしてイサの妻ファティマもまた、銃を手に戦う決意と妻としての欲望との間で揺れ動き、ハジルとの不倫関係にはまり込んでいた……。公的な大義と私的な欲望が複雑に交錯するこの物語を、モーリー・スリヤは暗鬱な色調と陰影深い照明を用いた映像で重厚に描く。歴史の激流に翻弄されながらも個人の尊厳を守ろうとする人々の抵抗を、歴史叙事詩、メロドラマ、そしてアクション映画の文法を援用して描いた野心作だ。本作はロッテルダム映画祭のクロージング作品としてワールドプレミア上映された。

監督:モーリー・スリヤ(Mouly SURYA)

1980 年、ジャカルタ生まれ。初長編『フィクション。』(2008)がインドネシア映画祭で最優秀作品賞など4冠。第2作『愛を語るときに、語らないこと』(2013)はインドネシア映画で初めてサンダンス映画祭で上映。第3作『マルリナの明日』(2017)で第18回東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞、母国のアカデミー賞に当たるCitra Awardで作品賞、監督賞など10冠に輝く。2023年黒澤明賞受賞。初の米国映画『トリガー・ウォーニング』(2024)がNetflixで配信。

監督ステートメント

インドネシアが1945年に独立宣言したことが、私にはいつもどこか奇妙な物語に思えます。日本の占領下にあったわが国は、日本が敗戦するとすぐさま独立を宣言しました。しかしその後、日本の前の宗主国であるオランダとの3年間にわたる戦闘が始まります。第二次世界大戦で疲弊した国が、狡猾にも再植民地化を企てたのです。この一連の出来事は、策謀や欺瞞や裏取引に満ちた物語なのに、英雄譚として語り継がれています。

本作の原作小説の主人公・イサには、強く惹かれるものがあります。彼は戦争と結婚生活の双方で「男」としての役割を形づくるすべてを失いました。夫婦の寝室でも、家族の扶養者としても、その立場を失うのです。やがて、ヒロイズムは仲間からの同調圧力となり、生活の糧を得るための生業や責任へと変貌します。こうした社会における役割の微妙な変化は、ファティマのような人物を通して描かれます。自分も戦いたいと切望しているのに、母や妻としての責務に従うことを余儀なくされた女性です。

『市街戦』は、1946年という歴史上の曖昧な時期を背景にしています。独立を祝う「ムルデカ!」の歓声が飛び交うなか、戦火に焼かれる都市の光景は、祝うべきものなど何もないことを示しています。大統領が首都から逃れた状況で、男たちは善悪や支配者と被支配者、英雄と悪党、友と敵、男と女の境界線を見失っていくのです。

上映スケジュール

11月24日(月)21:05 -

ヒューマントラストシネマ有楽町

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11月30日(日)14:10 -

有楽町朝日ホール

ゲスト

モーリー・スリヤ(監督)

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