第5回東京フィルメックス デイリーニュース



11月20日(土)〜11/28(日)、開催の模様をデイリーでレポート!
※即日更新予定ですが、遅れる場合もありますので御了承ください。


DATES NAVI


「おそいひと」柴田剛監督 Q&A
TOP LINE INDEX



コンペティション部門に出品された日本映画『おそいひと』は、75年生まれの若手監督・ 柴田剛による、障害者を主人公にしたスリリングなドラマだ。監督は熊切和嘉、山下敦弘、宇治田隆史など、個性豊かな監督を輩出していることで知られる大阪芸術大学を卒業、今作が長編2作目となる。













観客とのQ&Aの前にまずは市山プログラム・ディレクターが 2000年のロッテルダム映画祭でも上映された監督の前作『NN−891102』に触れ、「とても力のある監督だと感じ、その方の新作だということで観させてもらったのが、この『おそいひと』」と紹介。まずは重度の身体障害者を主人公にした作品が完成するまでの経緯について聞いた。

「主人公を演じている住田さんの実際のヘルパーをしているのが、僕の先輩である仲悟志なんです。その仲さんから住田さんが出演する映画を作ってみないかという話をもらって。僕も興味を持ったので、映画を撮る仲間を探しておくからと、何もないところからはじめました。前作から3年も経過してしまったのは、脚本を作ってみたはいいけど、実際の現場で住田さんができることとでいないことを把握しきれなかったから。最初に作った脚本は原型をとどめなくなっていきました」。若手芸術家を支援している神主さんから出資してもらったこと、パンクバンドのライブドキュメントを制作中にパンクレーベルの代表者からプロデューサーの志摩敏樹(昨年のフィルメックスで上映された『ニワトリはハダシだ』でもプロデュースをつとめる)を紹介されたことなどを明かした。

  障害者と介護者の関係を軸にした衝撃的な物語だけに、「私自身もヘルパーの仕事をしているので、監督がヘルパーという仕事にどのようなイメージを抱いているかが知りたい」という問いかけがあった。監督は「原案を立ち上げるときにたくさんのヘルパーに会ったし、この話を提案してくれた仲さんも実際に住田さんのヘルパーをしている。良いイメージも悪いイメージもなく、障害者がいて健常者がいて、そのうえに成り立っている仕事である。生きていくために必要な握手をしている関係であると認識している。僕自身は、なぜヘルパーの仕事を選ばれたのか聞いてみたい」と逆取材。客席からは「自分が病気をしたときに介護者のお世話になった。介護されていた人だからこそよい介護ができるのでは、と病院が仕事を紹介してくれた」という返答があった。

「失礼かもしれないのですが」と前置きをしつつも「何をいいたいか分からなかったので説明をお願いしたい」という声には、「言いたいことを言葉で表現できないから映画で表現しているのであって、あえて言葉では説明してしまうと映画を観てもらう意味がない」。「友達に誘われてきたという事情もあるもので……」という反撃には「なんだよ、それ!」と笑顔でキレつつも「こうして質問してくれたことに感謝します」と答えるなど、壇上と客席の近しいやりとりが印象深いQ&Aとなった。

最後に主人公・住田さんのヘルパーである仲悟志さん、ボス役を演じた阪神障害者解放セ ンタの福永年久さん、ヘルパーを演じたパンクバンド「バミューダ☆バカボンド」の堀田直蔵がステージに登場し、会場は大きな拍手に包まれた。

(取材・文/細谷美香)




BACK




フィルメックス事務局から、最新のトピックスをお届けします。「フィルメックス瓦版」