11月20日(土)〜11/28(日)、開催の模様をデイリーでレポート!
※即日更新予定ですが、遅れる場合もありますので御了承ください。
「風を吹かせよう」バルト・セン・グプタ監督 Q&A
コンペティション作品『風を吹かせよう』は、フランスで映画製作を学んだボンベイ出身の映画作家、パルト・セン・グプタの長編デビュー作。現代のボンベイで暮らす若者たちの姿を通して、インドが抱える社会問題に疑問を投げかける新世代のインド映画。
パルト・セン・グプタ監督が参加したQ&Aでは、撮影方法についての質問が飛び交った。「なぜデジタルビデオで撮ったのか」の質問に、「資金不足だったのでデジタルで撮るしかなかった」と答えた監督は、「デジタルビデオで映画を撮ることはインドでは珍しいため、撮影監督が嫌がって、なかなか組んでくれない」とインド映画界の現状を明かしてくれた。
日本人に馴染みのあるインド映画といえば、歌と踊りをふんだんに取り入れた『ムトゥ 踊るマハラジャ』のようなマサラムービー。そういった娯楽映画とは全く異質の同作に、驚きの声もあがった。「大型映画だけでなく、このようなインディペンデント映画、アート映画もインドにはあります。ただ劇場で上映されるとなると難しい。しかし、最近インドではシネコンの増加により、コンテンツ不足と言われていまして、私たちのような映画も上映されます。とはいえ、予断は許さない状況です」
「インドではまだ公開されていない」というこの作品。監督は「政治的なテーマを扱うと検閲にひっかかるので上映は難しくなる」と強調する一方で、客席からは「広島、長崎の惨状を映画で伝えてくださってありがとう」と感謝のメッセージが送られた。
(取材・文:北島恭子)