第5回東京フィルメックス デイリーニュース



11月20日(土)〜11/28(日)、開催の模様をデイリーでレポート!
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「戦場の中で」ダニエル・アルビッド監督 単独インタビュー
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ベイルートに生まれ、17歳からフランスで育ったダニエル・アルビッド監督。内戦中 のレバノンを舞台にした『戦場の中で』は、監督にとって自伝的な要素が強い作品と なった。ひとつの家族のなかに生まれる愛や憎悪を12歳の少女の視点で追いかけた物 語は、戦時中という非日常を舞台にしながらも、普遍的な広がりを獲得している。











「実は私自身も、舞台がいつでもどこでも可能な作品だと思っています。私は戦争と いうことよりも、むしろ80年代にこだわりがありました。80年代に私はたくさんのも のを発見しました。ロックンロール、ディスコ・ミュージック、ファッション、さま ざまなノスタ ルジックな要素をたくさん入れました。80年代は自分にとって非常に 大事な時代です。いずれにしても外の戦争よりも、家のなかの戦争のほうがより残酷 であるということがいえると思います。少女にとっては内戦の現状よりも、両親の愛 情、友情のほうが大事だった。レバノンの内戦を暗喩的に使いながら、家のなかの戦 争を描いた映画なのです」

少女が大人の世界へと足を踏み入れていく姿を描いたこの作品は、監督にとって「思 春期に目を向けた青春映画」。主人公のリナを演じた女の子も、撮影時は11歳。孤独 の影を感じる少女をオーディションで選んだ結果、「ずいぶんたくさんの人に監督と 顔が似ているといわれた」とか。なるほど可憐なヴィンテージのワンピースに身を包 んだ監督には、どこか少女の面影が残っている。

「思春期について描いた映画が、個人的にとても好きなんです。思春期にいる若者た ちは、愛や性について発見しながら情熱的に生きている。ラリー・クラークなどの映 画も好き ですね。若者たちが下手な倫理にとらわれずに生きる姿に、心情的にとて も近しいものを感じます」

大人同士の争いごとや、友人であるメイドの少女の性体験。それらを主人公が“のぞ き見”するようなショットが多用され、観客は12歳の少女の驚きや混乱を共有するこ とになる。

「決まった撮影方法にとらわれるのではなく、少女と親しい気持ちで撮影をしたかっ たんです。彼女の主観を大事にしたかったから、事前に絵コンテを用意することもな かった。たとえば友人のセックスを見てしまうシーンでは、彼女のセクシュアリティ に関する感情のうごめきをいかに伝えるかに心を砕きました。私はいつも観客がオフ スクリーンに何を観てくれるか、ということを考えます。小津安二郎は“木は重要で はない。ひとつの小さな枝を見ることが重要だ”というようなことをいっている。つ まり枝を見れば観客は木全体をイメージすることができる。私もそういう映像を目指 しているんです」

(取材・文/細谷美香)




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