上映作品 - キーラ・ムラートワ監督傑作選

無気力シンドローム / The Asthenic Syndrome

11/20(金)16:05 -ヒューマントラストシネマ有楽町

ソ連 / 1989 / 153分
監督:キーラ・ムラートワ(Kira MURATOVA)

崩壊寸前のソビエト社会を背景に、人間の極限的な疲弊を描いた作品。夫を失い激しい絶望から暴力的に振る舞う女を描くモノクロの第1部と、その映画の観客席で眠りこける、無気力症に冒された教師の日常を追うカラーの第2部で構成される。社会の閉塞感と個人の精神的崩壊を冷徹かつ実験的な演出で捉え、混沌とした時代そのものの狂気を体現したムラートワの代表作の1本。

夫を亡くした医師ナタリアは、病院を辞職し、周囲の人々を攻撃し始める。それを映画館で見ている教師ニコライは、いつでもどこでも眠りに落ちてしまう病にかかっている。ソヴィエト崩壊前夜の、肉体的・精神的な病を分有する人々を、断片的な構成でモザイクアートのように捉えた、黙示録的傑作。挑発的な表現や禁じられたスラングの使用によって、ソヴィエト映画史における最後の公開禁止作品となった。「存在論的アナーキズム」に貫かれた本作は西側世界でも物議を醸したが、ベルリンの壁崩壊以降初の第40回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した。

監督:キーラ・ムラートワ(Kira MURATOVA)

1934 年ルーマニア生まれ。幼少期は外国映画の検閲を担当する官僚の母によって育てられる。「雪どけ」の世代として全ソ国立映画大学で映画を学ぶ。卒業後オデーサのスタジオに就任し、生涯オデーサで半世紀近くにわたり映画を制作した。初期の代表作『長い見送り』(1971)は検閲により上映を禁じられ、その後もたびたびソヴィエト政府から苛烈な抑圧を受けたが、ペレストロイカ期には超大作『無気力症シンドローム』(1989)で第 40 回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。ソヴィエト崩壊以降もウクライナ国民としてオデーサで映画製作を続け、ウクライナ国民栄誉賞などを受賞。2018 年にオデーサで逝去。

上映スケジュール

11/20(金)16:05 -

ヒューマントラストシネマ有楽町