上映作品 - 特別招待作品

彼女が戻ってきた日 / The Day She Returns

11/20(金)21:20 -ヒューマントラストシネマ有楽町

11/28(土)16:30 -有楽町朝日ホール

韓国 / 2026 / 84分
監督:ホン・サンス(HONG Sang-soo)

離婚を経て12年ぶりに若手監督のインディーズ作品で映画界に戻った女優(ソン・ソンミ)が、映画公開を前に3組の記者の取材を相次いで受ける。復帰の理由、離婚の真相、ペット、お酒…映画の内容とは無縁の似たような質問ばかり。だが、答えは少しずつ変わっていく。取材の後の演技教室で、彼女は今日の自分を再現しようとする。

加齢と創作活動というテーマに立ち返ったホン・サンス監督の長編第34作は、12年の空白期間を経てスクリーンに復帰したある中年女優の一日を捉えた、極めて抑制の効いた作品だ。劇中の大半を占めるのは、ほぼ同一アングルの固定カメラと長回しで撮影された3度のインタビュー風景。作品よりも私生活に興味を示す記者に対し、昼下がりのビールを酌み交わしながら軽やかにあしらう主人公の気品ある佇まいが印象的だ。これらの対話は一見すると画一的な雑談の反復だが、物語は彼女が夜間に通う演技教室のレッスンでそれらを脚本化し、再演しようと試みる終盤で驚くべき深みに達する。彼女は自身の語った言葉を反芻し、フィクションを通じることでしか到達できない自己の真実に触れていくのだ。本作は「反復」と「差異」というホン・サンス作品にはお馴染みの構造を持ちつつも、その精緻さと射程の広さにより、この映画作家の真骨頂とも言える静かな高揚感を私たち観客にもたらしてくれるだろう。

監督:ホン・サンス(HONG Sang-soo)

1960年、ソウル生まれ。『豚が井戸に落ちた日』(1996)でデビュー。監督・脚本・撮影・編集・音楽を一手に担う独特の手法で新作を次々発表。34作目となる本作を初上映したベルリン国際映画祭には2020年から7回連続で選出、『逃げた女』(2020)が監督賞、『イントロダクション』(2021)が脚本賞、『小説家の映画』(2022)と『旅人の必需品』(2024)が審査員大賞を受賞。最新作『Nowhere to Lay My Eyes』(2026)はロカルノ映画祭で監督賞と主演キム・ミニの演技賞を獲得した。

上映スケジュール

11/20(金)21:20 -

ヒューマントラストシネマ有楽町

11/28(土)16:30 -

有楽町朝日ホール