東京フィルメックス・コンペティション
学生審査員賞
韓国 / 2023 / 92分 監督:キム・テヤン ( KIM Taeyang )
変わりゆくソウルの街を散歩したりドライブしたりしながら、若い画家と映画講師の移り変わる運命と人生の節目を本作は捉えていく。恋愛関係やキャリアの目標、あるいは地元の記念碑について思いを巡らせ、会話を交わしながら、旧友である彼らは横断歩道や路地を肩を並べて歩く。そして彼らが同じ場所や物語、そして同じ会話のポイントを巡って戻ってくる様子が、数年に渡る撮影の中で観察されていく。題名の「ミマン」という韓国語にはいくつかの定義があり、言葉では言い表しにくい概念の一つだと思われるが、本作が扱っているのもまさにそのような言語化しにくい感情であり、日常的でありながら、それでいて普段は忘れているような感情が、ここでは巧みに掬い上げられている。望遠レンズを用いて美しく切り取られた街並みと、街の環境音を含めた音響デザインも秀逸。新鋭キム・テヤン監督の長編デビュー作で、トロント映画祭ディスカバリー部門でプレミア上映された。
監督:キム・テヤン ( KIM Taeyang )
1988年、韓国生まれ。建国大学校にて映画について学ぶ。短編監督作『Actors』(2015)でDMC短編映画祭のDMCコルネット賞を受賞。短編監督作『Snail』(2020)が釜山国際短編映画祭でスペシャル・メンション、清州短編映画祭で最優秀監督賞、大邱短編映画祭で優秀賞を受賞。また、短編監督作『Seoul Cinema』(2022)がソウルインディペンデント映画祭で観客賞を受賞した。
11月19日(日)21:30 -
ヒューマントラストシネマ有楽町
11月25日(土)10:15 -
有楽町朝日ホール