東京フィルメックスとは

審査員

ワン・ビン ( WANG Bing / 中国 / 映画監督 )

1967年、中国陝西省西安生まれ。瀋陽の魯迅美術学院で写真を学び、その後、北京電影学院に進学し、ミケランジェロ・アントニオーニ、イングマール・ベルイマン、ピエル・パオロ・パゾリーニの作品に出会う。中でもアンドレイ・タルコフスキーを敬愛している。1990年を通じて様々な映画作品の助監督やカメラマンとして生計を立てるも、主流な映画製作やテレビ界では自身の望むような成長に繋がらないと思い、自身の映画制作を始めた。

2002年には中国北東部の巨大な工業地帯の衰退についての9時間を越える長編ドキュメンタリー作品『鉄西区』を制作。ファーストカット版として、5時間バージョンの作品が2003年のベルリン映画祭にて上映。最終的な完成版は3つのパートに分かれており、ロッテルダム映画祭にてプレミア上映。その後、2004にはフランスで配給され劇場公開された。今日、同作はデジタル時代に開かれた新たな可能性の前触れでもある傑作として評価されている。その後も同じスタイルで制作し、システムに囚われず非常に挑戦的なテーマに取り組み続け、1950年代後半の反右派運動を描いた『鳳鳴― 中国の記憶』(2007)、極度の貧困を描いた『三姉妹〜雲南の子』(2012)、そして精神病院での生活を描いた『収容病棟』(2013)といった作品を発表。

2017年には『ファンさん』でロカルノ映画祭金豹賞を受賞し、2018年には『死霊魂』がカンヌ映画祭アウト・オブ・コンペティション部門に選出。2021年には、パリのLe BALで「The Walking Eye」と題した展覧会が開催され、シネマテーク・フランセーズでも特集上映が実施された。また、2023年のカンヌ映画祭では2つの新作、『黒衣人』が特別招待作品部門で、『青春(春)』がコンペティション部門に出品された。

クオ・ミンジュン ( KUO Ming-Jung / 台湾 / 映画プログラマー・プロデューサー )

映画祭運営やプログラミング、有能な人材支援にキャリアの多くの時間を費やし、2014年から2018年までは台北映画祭のプログラム・ディレクターとして新たな才能を発掘しつつ、VR作品と映画史の重要な作品も紹介。また、Produire au Sudとパートナーを組み、PAS Taipeiを2015に立ち上げ、脚本開発・国際共同制作・セールス戦略への支援をしている。プログラム・コンサルタントを務めていたシンガポール映画祭に2019年にプログラム・ディレクターとして、その後アーティスティック・ディレクターとして参加。2019年から2021年の3年間はロカルノ映画祭Open Doorsの選定委員会も務めた。2022年、Island X Picturesを設立し、複数の新作長編映画の企画開発を進めている。また、2022年よりカンヌ映画祭監督週間の台湾・東南アジア担当としてコンサルタントを務めている。

アノーチャ・スウィチャーゴーンポン ( Anocha SUWICHAKORNPONG / タイ / 映画監督 )

タイの社会・政治史に影響を受けた作品を制作し続けている映画監督。これまでニューヨークのMuseum of the Moving ImageやトロントのTIFFシネマテーク、ハーバードフィルムアーカイブなどで監督作品の特集も実施された。バンコク拠点の制作会社Electric Eel Filmsを設立し、非営利法人であるPurin Picturesを共同設立。これらの団体を通じて、東南アジアのインディペンデント映画制作を支援している。また、Prince Claus Laureate、DAAD Artists-in-Berlinレジデンシー、Rockefeller Foundation Bellagio Residency にも参加している。2018年から2020年にかけてはハーバード大学の芸術・映画・映像学学部で客員教授を務め、長編最新作『カム・ヒア』は2021年のベルリン映画祭フォーラム部門で上映された。2022年にはWalker Art Centerの依頼で、初めてのライブパフォーマンス「FREETIME」を演出した。現在、コロンビア大学で映画演出を指導している。

学生審査員

東京学生映画祭主催の「学生審査員賞」は3人の学生審査員がコンペティション部門の作品を対象に審査し、11月26日(日)の授賞式で最優秀作品を発表します。学生審査員の選任から、賞の運営までを東京学生映画祭の手で行います。

東京学生映画祭

中山響一( NAKAYAMA Kyoichi / 武蔵美術大学卒 )

監督作:『Chasing My Dream』(第34回東京学生映画祭実写短編部門グランプリ)

大権早耶佳( DAIGON Sayaka / ENBUゼミナール卒 )

監督作:『いうなれば、黄昏』(第34回東京学生映画祭実写短編部門入選)

藤﨑諄( FUJISAKI Itaru / 明治大学 )

第34回東京学生映画祭企画委員