監督:アノーチャ・スウィチャーゴーンポン( Anocha SUWICHAKORNPONG )
タイの社会・政治史に影響を受けた作品を制作し続けている映画監督。これまでニューヨークのMuseum of the Moving Imageやトロント映画祭シネマテーク、モントリオールのCinema Moderne、ブラジルのOlhar De Cinemaで監督作品の特集も実施された。長編監督第2作目『暗くなるまでには』は1976年にタイ国軍と極右組織によるバンコクのタマサート大学で起きた学生虐殺事件を描き、ロカルノ映画祭でのプレミア上映後もトロント映画祭、BFIロンドン映画祭、ウィーン映画祭、ロッテルダム映画祭をはじめ世界中の映画祭で上映された。同作は作品賞と監督賞を含むタイ国内での映画賞を3つ受賞し、2017年にはアカデミー賞外国語映画賞へのタイのエントリー作品に選ばれた。初長編監督作品『ありふれた話』(2009)はロッテルダム映画祭タイガー・アワードをはじめ、数々の賞を受賞。同作ではタイの政治状況を寓話的に捉え、父親と下半身付随の息子の関係性を描いている。イギリスのベン・リヴァースとの共同監督作品である長編第3作目『Krabi 2562』はタイ南部の町を描き、ロカルノ映画でプレミア上映された。コロンビア大学で修士号を取得し、卒業制作の『Graceland』はカンヌ映画祭に出品された初のタイの短編映画となった。2017年にはVisra Vichit-Vadakanとアーティット・アッサラットと共に東南アジア映画を支援するPurin Picturesを設立。2018年から2020年にかけてはハーバード大学の芸術・映画・映像学学部で客員教授を務め、2019年にはPrince Claus Laureateを授与された。