監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン( Nuri Bilge CEYLAN )
1959年1月26日、イスタンブール生まれ。1976年の学生運動、社会的・政治的不安の強い文脈からイスタンブール工科大学で化学工学の勉強を始める。
1978年にはボスポラス大学で電気工学の学位を取得。そこで写真に強い興味を持ち、大学の写真クラブに参加。また、広大な図書館資源によって視覚芸術とクラシック音楽の自身の美的感覚を養う。映画の授業を受講、映画クラブの上映にも参加し、イスタンブール・シネマテークの暗いホールで過去に制作された映画を鑑賞し映画への愛情を強めていった。1985年に卒業した後、ロンドンとカトマンズを旅行し、将来について考える機会を得る。その後、トルコに戻り、18ヶ月の兵役を務める。そして、この時期に生涯を映画に捧げることを誓う。
兵役の後、生計を立てるためにプロの写真家として働きながらミマール・シナン芸術大学で映画を学ぶ。2年後、実践的な経験を積むために大学での勉強を放棄。友人のメフメット・エリュマズが監督する短編映画に出演しながら制作の技術的なプロセスにも参加する。
1993年の終わりには初めての短編映画『繭』の撮影を開始。1995年5月のカンヌ映画祭で上映され、短編映画として初めて出品されたトルコ映画となった。最初の3つの長編監督作『カサバ - 町』(1997)、『5月の雲』(1999)、『冬の街』(2002)では撮影、サウンドデザイン、編集、脚本、監督、製作をはじめ複数以上のポジションを自身で担当。
『冬の街』は2003年のカンヌ映画祭でグランプリと2人の主演俳優に対して最優秀俳優賞を受賞し、国際的に知られる監督となった。その後、『冬の街』は23の国際賞を含む、少なくとも47の賞を受賞し、トルコ映画史上最も受賞の多い映画となった。
その後の作品も全てカンヌ映画祭で受賞を果たし、『うつろいの季節』(2006)が国際映画批評家連盟賞、『スリー・モンキーズ』(2008)が最優秀監督賞、『昔々、アナトリアで』(2011)が再びのグランプリを受賞。
2014年には長編第7作となる『雪の轍』がカンヌ映画祭の最高賞パルム・ドールと国際映画批評家連盟賞を受賞。2018年には『読まれなかった小説』が再びカンヌ映画祭コンペティション部門への出品を果たしている。