『悲しくなるほど不実な夜空に』 宇治田隆史 インタビュー |
Q. 宇治田さんは大阪芸大大学院在学中にこの映画を作られていますね。 A. この企画自体はもともと自主映画として作りたいと思っていたものですが、大学の機材を借りることができるので、大学院に進学してカリキュラムの一環として作りました。大阪芸大には映像学科があり、中島貞夫監督も講師として教えていらっしゃいます。卒業するためには論文を提出するか、映像作品(映画、CM、実験映画など)を製作しなければなりません。製作した作品については学生に全ての権利が属することになっています。 Q. この映画は極めてユニークな設定のホームドラマと言えますが。 A. 昔からホームドラマが好きで、特に父親が頑張るような話が好きでした。ただ、昔見たような典型的なホームドラマは自分には撮れないだろうと思ったので、だらしない父親という通常とは逆の設定を選びました。自分自身の父親が子供に対して弱い面を見せない強いタイプだったので、そうでない父親像への憧れのようなものがあったのかもしれません。 Q. 俳優の方々についてお話しください。とりわけ父親役を演じた方の存在感が強烈 だったのですが。 A. 父親役を演じた古賀潤一さんは大工さんで、演技経験は全くない人です。脚本を書いている時から、この人だけは頭の中にありました。葉月蛍さんについては、葉月さんの出演作品の上映会のチラシを見て、それがイメージにぴったりだったので脚本を送り、お会いした上で出演をお願いしました。その他の出演者は『鬼畜大宴会』に出 演している澤田俊輔さん、大阪のタレント事務所に所属する川島佳帆里さん、舞台で活躍する小川トトさんなど、何らかの形で演技経験のある方たちです。プロであろうとアマチュアであろうと、その人のそれまで生きてきた生き方がにじみ出てくるような人たちと仕事をしていきたいと思っています。 監督プロフィール::1975年和歌山生まれ。高校時代に数本のビデオ作品を製作後、大阪芸術大学に入学。『鬼畜大宴会』の熊切和嘉と同期で友人となり、学校の課題製作とは別に8mm自主制作を始めた。数本の作品を熊切とともに作り上げ、その後卒業制作として16mm、70分の作品『浪漫ポルノ』にて初の長編を手がけ、大阪ではブレイク前の『鬼畜大宴会』とともに「エログロナイト」として上映される。その後大学院に進学しつつ『悲しくなるほど不実な夜空に』をスーパー16mmのブローアップ35mm作品として完成。次作は大阪在住の作家光山明美原作の、坊っちゃん文学賞受賞作「土曜の夜」の映画化準備中。 |