『天上の恋歌』 ユウ・リクウァイ インタビュー |
Q. 『天上の恋歌』はいつ頃から企画されていたのでしょうか? A. ベルギーの映画学校を卒業した1995年に、最初の脚本を書きました。基本的な人物関係はその時のままですが、それから3年間脚本を直してゆくうちに、中国からの移民の問題が大きな位置を占めるようになりました。香港に戻ってきた時が、本土返還の2年前で、本土の影響力が大きくなっていた時だけに、そのような問題への関心が増してきたのだと思います。その意味では、これは人間同士の愛憎関係を描く作品であると同時に、中国と香港の愛憎関係を描く作品とも言えるかもしれません。 Q. この作品には室内シーンが多いのですが、それは意図的なものでしょうか。 A. そうです。人間関係を表わすために、動きたいけど動けない閉塞感を意図的に作り出そうとしました。それは、脚本を書いていた当時の私の香港に対する感情を表現していると言えるかもしれません。香港のアイデンティティは中国でもイギリスでもなく、非常に不安定です。狭められた定義に押し込まれているというのが香港のアイデンティティではないでしょうか。 Q. ユウ・リクウァイさんは撮影監督としても活躍しており、今回上映される『プラットホーム』でも素晴らしい仕事をされています。今後も監督と撮影を並行して行われるのでしょうか? A. 映画は集合的なものであり、監督が撮影監督より重要であるとは思いません。自分の創造性が発揮できるのであれば、喜んで他の監督の作品の撮影を担当したいと思いますし、場合によっては俳優をやっても構いません(笑)。 監督プロフィール:1966年香港生まれ。ベルギー国立高等舞台芸術学院に留学。帰国後、ドキュメンタリー『ネオンの女神たち』(96)を撮影・監督し、96年香港インディペンデント短編映画&ビデオ賞ドキュメンタリー部門グランプリ、97年山形国際ドキュメンタリー映画祭シネマ・ダイスキ賞を受賞。撮影監督としてもジャ・ジャンクー監督『一瞬の夢』、アン・ホイ監督『千言萬語』などに参加。 |