『ジョメー』
ハッサン・イェクタパナー インタビュー

Q. イェクタパナー監督は長い助監督歴の末にこの『ジョメー』で監督デビューされたと聞いていますが。

A.  私はこれまで19年間助監督をつとめてきましたが、とりわけアリ・ハタミ監督の作品には13年間つきました。その後、アッバス・キアロスタミ監督の『桜桃の味』の助監督をつとめ、全く別の世界が目の前に開けたような気がしました。それまでにも監督デビューする機会はあったのですが、自分が撮りたいものが何かわからず、機会を逸していました。キアロスタミ監督と出会ってから、ようやく自分が探していたものが見つかったのです。彼との出会いは自分の映画観だけでなく、人生観をも変えました。

Q. 『ジョメー』でアフガン人の青年を主人公に設定したのはなぜですか?

A. 現在、イランには400万人のアフガン人が住んでいますが、イラン人とアフガン人は、法律上、結婚してはいけないことになっています。こういうことにプロテストしたいというのが主人公をアフガン人に設定した理由の一つです。私は世界中の人間の間には区別はないと思います。人間にはパンと水が必要なのと同じくらい、あるいはそれ以上、愛が必要だと思います。国籍も宗教も関係ない愛が必要とされているという考えが、この映画を作る一つの動機となりました

Q. イランからは次々と才能ある若手監督が登場しているように思えますが、何か理由があるのでしょうか?

A. イランの映画の歴史は決して最近始まったわけではなく、イスラム革命前にはこのTOKYO FILMeXでも紹介されるソフラブ・シャヒド=サレスのような素晴らしい映画作家がいました。イラン映画の技術的な水準は決して高いとは言えませんが、もしこの点が改善されれば、もっと素晴らしい映画がイランから出てくると思います。


監督プロフィール:1963年イラン生まれ。アッバス・キアロスタミ監督やジャファル・パヒナ監督など、イランの多くの映画監督の助監督を務める。本作が初の長編監督作品。

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