『ジュリエット・イン・ラブ』
ティーチイン

 イキがってるけど根は優しいチンピラやくざと、気を張って生きてるけども心淋しい人気レストランの接客嬢が、ねじれにねじれて純愛に至る。突発的に巻き起こる事態を破天荒にくぐり抜け、災いを福に転じる男、あきれ果 てつつ彼を憎めなくなる女。二人の一挙一動に場内は爆笑とすすり泣きのシーソー状態と化し、上映後、若い才気が迸るウィルソン・イップ監督と連れの助監督を観客は熱烈な拍手で迎えた。「『ロミオとジュリエット』という西洋の古典に『梁山泊』という中国の古典をかけ合わせ、別世界に住んでる者同士を平凡な庶民の暮らしの中で出会わせる、そんなところにも感動の物語が起こりうるんだ、という映画にしたかった」、とイップ監督。彼の前作『爆烈刑察』を観ている熱心な香港映画ファンも多く、“走ること”や“コーラ”や“キーホルダー”など、ディテールへの質問が方々から飛ぶ。「いったい今どこに向かおうとしているのか、わからなくなる時が人生にはあるけれど、どこかに向かって走るだけで力が湧いてくるものです。だから、走るシーンにはこだわりがあります。そう、コーラも好きっ!(場内爆笑)生まれた瞬間から常に身の回りにあるものは、映画の中でも人々の生活感情をつなぐ大事な要素なんです」。ティーチ・イン終了後、去りがたい女性客らがロビーで監督を囲む和やかな一幕も。

後藤岳史


監督プロフィール:葉偉信(ウィルソン・イップ)
1985年に香港最大級の映画スタジオCinema Cityで映画作りを始める。1995年に幽霊モノ『1:00am』でデビューするまで助監督をつとめる。監督作品に:『01:00am』(95),『Daze Raper』(95),『Mongkok Story』(96),『Teaching Sucks』(97),『Bio Zombie』(98),『Bullets Over Summer』(99)など。


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