『いわゆる親友』
ティーチイン

 急速な経済成長とともに名物の自転車がいつの間にか車に取って代わり、新しい都市文化や生活意識と旧き裏町文化が混在する国際都市・北京。そこに繰り広げられる「ごく普通の若者の交流を描きたかった」とタイ監督がまず切り出す。台湾から北京にやって来た青年を演じる台湾のポップ歌手リン・チャンは「表現力が自然」、彼と親友になる北京の若者役ホァン・レイは「かっこいい役だけでなく、生活の匂いのする役に対してもチャレンジ精神旺盛」。「二人は全く異なるタイプだけど、ともに音楽に造詣が深く、(共同で監督した)ぼくら二人の仲よりコンビネーションがうまくいきましたよ」と、リェン監督が笑って話を引き継ぐ。北京に学んだ台湾人であるこの若い両監督が撮り上げた『いわゆる親友』は、台湾人と中国人の主人公の友情を起点に、中国語を学ぶ日本人の女の子や福建出身の女教師など、「外国語や方言が飛び交う」出会いが数珠のようにつながってゆく。「社会環境や習慣の違いを越えて、気持ちが揺れながら往き来するような感じにしたかったのです」と、タイ監督。冬から早春の気配が漂い始めた北京で、見えない前途に向かって思いっきり伸びをしたくなるような、映画の後味のよさを引き継いで、とてもくつろいだティーチ・インとなった。


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