『ダイ・バッド』
ティーチイン

 この前日、リュー・スンワン監督が交通渋滞に巻き込まれたため、仕切り直しとなったティーチイン。主演も兼ねた監督は俳優出身とのことで、それも頷ける甘いマスクの持ち主である。「十代の頃に香港アクションに熱中し、今や世界中の映画作家から影響を受けている。例えばタランティーノ、北野武、三池崇史」との言葉が裏付けるように、ホラー、コメディ、社会風刺、そしてアクションなど、あらゆるジャンルの要素を凝縮した本作。観客からは矢継ぎ早に熱心な質問がぶつけられ、「メッセージを伝えるために映画を作っているわけではない。人生は思い通りにはいかない、ということを表現したつもり」「乱闘シーンが多すぎて、薬代が高くついた」と、時折ユーモアを交えた柔軟なコメントが続く。なかでも印象的だったのは名匠イ・チャンホが出演したことに関する話で、「若手監督にとっては父親のような存在だが、今はまるで牙を抜かれた虎になっている。自分を軽んじる韓国映画界への怒りが、チャンホ監督の演技に表れているのではないか」。ちなみに『ダイ・バッド』というタイトルに関しては、「“死か、悪か”という登場人物の人生を要約したつもりだが、英語力が乏しいからこんな題名になっちゃって」と笑わせた。


back