『忘れられぬ人々』 舞台挨拶 |
初監督作品『おかえり』(96)の内外での成功以来、待たれていた篠崎誠監督の第二作がいよいよ本映画祭で上映。場内はつめかけた観客の日本初上映に立ち会うという、いかにも映画祭らしい興奮と熱気に包まれた。舞台には風見章子、青木富夫、 篠崎誠の三氏が並ぶ。 渋い色調ながら艶やかな色合いを秘めた着物姿で、着こなしもさすがと思わせる風見氏は、フランスの港町ナントにおける「三大陸映画祭」での主演女優賞の受賞に触れて、「私の役はむしろ助演というものなのに、こんな大きな賞を頂いてしまって。 私の女優歴の中では最高の栄誉です。これもひとえに篠崎監督のおかげ」と、あらためて感謝の気持ちを澄んだ声で述べると、青木氏も、三橋達也、大木実両氏と一緒の主演男優賞を一人ナントで受け取り、フランスの女優からキスを受けたエピソードを 披露して場内を沸かせ、「映画はみんなで作るもの。篠崎組は素晴らしかった」と万歳の声援を監督に送った。最期に篠崎氏は、この話は十代の頃からあたためていたことを話し、それを実現させてくれたさまざまな人達への感謝の言葉を述べると、「こ の映画を最終的に完成させるのは、観客のみなさんの想像力なのです」と結んだ。 監督プロフィール:篠崎誠 1963年東京生まれ。都内の映画館などで映写技師を務める傍ら、映画ライターとしても活動。多くの8ミリ映画を撮った後、96年に『おかえり』で劇場映画デビュー。ベルリン映画祭最優秀新人監督賞など数々の賞を受賞し、国際的に注目される。99年には、北野武監督『菊次郎の夏』のドキュメンタリー『ジャムセッション』を完成。ロカルノ映画祭を皮切りに、トロント、バンクーバー、プサン等の海外映画祭に出品された。 |