工作の後は16mmフィルムの鑑賞。アルベール・ラモリスという監督が作った『白い馬』という映画をみんなで観ました。
映画が終わった後、中江監督からいきなりの質問。「馬が少年を引きずりながら水上を走るシーンはどうやって撮っていたのでしょう?」との問いかけに「合成?」「上からカメラをつるしている」「レールのようなものを敷いてその上をカメラマンを乗せたトロッコが馬と同じスピードで走っている」など活発に意見が交わされました。
午前のプログラムはここまで。
昼食休憩を挟み、午後はいよいよ映画を<作る>ことに触れていきます。まず、中江監督から「ドラマって何?ドキュメンタリーって何?」ということについて簡単に説明がありました。みんなだいたいのことはすでに知っていたようです。
また中江監督からは、「映画を作る上で監督は重要だけれど、映画を作るためのお金を集めてきたり完成に向けて全体を見ることができたりするプロデューサーという人も偉くて、監督はプロデューサーの言うことを聞かなければならないときもある」「今回のワークショップでは大人スタッフがプロデューサー的な立場だから、今回作る映画のテーマはこちらから出します、テーマは『愛』です」という宣言があると、子どもたちからは「えーっ」という声。
とは言いながらも監督のお話を聞いた上で子どもたち自身がどちらをやりたいか決め、最終的にドラマ班2つ、ドキュメンタリー班3つの計5班に分かれました。
さて、ここからはいよいよ班ごとに映画の完成へ向けて走っていきます。
ふたつのドラマ班は、「5W1H」というストーリー作りの方法を中江監督から教えてもらいました。
「いつ(when)、だれが(who)、何を(what)、どこで(where)、なぜ(why)、どうした(how)」をひとつずつ別の人が考えそれを発表してつなげることで、とんでもないめちゃくちゃなお話が出来上がります。これには子どもたち、大盛り上がり。
しかし盛り上がるだけではお話は出来上がっていきません。映画美学校のスタッフが中心になって、各班5W1Hで作られたお話をテーマの『愛』と結びつけるように、また、話の流れがスムーズになるようにブラッシュアップしていき、その話にはどんな登場人物が出てくるのか、どんなものが必要なのかを話し合いました。
ストーリーができたら今度はスタッフ、キャストの決定です。班に分ける段階でスタッフ希望か役者希望かはみんなはっきりしていましたが、その中でもだれがどんな役割を、どんな役を担当するかを決めます。スタッフには監督、カメラ、マイク、ミキサー、助監督、スクリプターを配置し、キャストはそれぞれの班のお話に出てくる登場人物の中でどれをやりたいかを立候補制で決めていきました。争奪戦になった人気のある役もあったようです。
ドラマ班は次に衣装や小道具をだれが持ってくるかを決め、最後にスタッフを担当する子どもたちを中心に映画美学校の技術スタッフからカメラやマイクなど機材の使い方を学んで初日は終わりました。
さて、来週からスムーズに撮影が進むでしょうか。
一方のドキュメンタリー班も同じく「愛」をテーマに撮影します。子どもたちの希望により、撮影1日目は東京タワーから出発することになりました。たくさんのカップルに取材して愛を探して行く班、1組の取材対象にじっくり取り組んで、そこから愛を引き出していく班、愛があふれる場所を目指して歩きつづける班…。いろいろなアプローチで、それぞれが「愛」のテーマを映し撮ることになりました。
テーマが決まれば、早速、機材を使って練習です。大人のスタッフが街ゆく人々の役を演じて、子どもたち取材班が果敢にもインタビューを試みます。中江監督からは、「どうすればうまく取材ができるか」のコツをアドバイスしてもらい、取材方法も機材の扱い方もみるみるうちに巧くなっていきました。
さて、子どもたちは「愛」を探り当てることが出来るのでしょうか。
二日目に続く…。
(報告者:三宅、岡崎)