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2007年11月17日 11/17 『東』+『私たちの十年』舞台挨拶

IMGP2532.jpg 11月17日夜、シネカノン有楽町1丁目において、『東』と『私たちの十年』が上映された。上映に先駆けて、ジャ・ジャンクー監督、『私たちの十年』に主演した女優のチャオ・タオさんが登壇し、舞台挨拶を行った。

 最初に、山西省を走る列車を舞台に10年の時間の経過を感じさせる短編『私たちの十年』が作られた経緯について。
「この作品は「南方都市報」という新聞社から、創立10周年記念の制作を依頼されて作りました。「南方都市報」は広州にある新聞社で、日頃から正義感溢れる報道を行っていて、非常に大胆で自由な記事が特徴です。特に、2003年のSARS禍のことを中国で初めて報道したのもこの新聞なんですよ。その精神をすごく尊敬しています」とジャ監督。
「この作品を撮るにあたって、2人の俳優を起用しました。1人はずっと僕の映画に出てくれているチャオ・タオ、そしてティエン・ユェンという新人女優です。2人の女性が鉄道で出会い、10年を彼女たちのやり取りによって物語るという作品に仕上げたわけです」(ジャ)そして、「まあ、10年といっても映画自体は8分間しかないから皆さん安心してください」と付け加えると、会場からは笑いが起こった。

IMGP2523.jpg 次に、チャオ・タオさんが撮影期間中、苦労したことについて。「まず、撮影期間が2日しかなかったんです。(8分という短い作品ですから)1つ1つのシーンが十分に時代を映さなければならないと思いました。そのなかで時代の雰囲気を出すには衣装が重要と考えました。でも、衣装がとても素晴らしかったので、わたしは安心して演じることができました」

 続いて、監督が『長江哀歌』(第7回東京フィルメックスオープニング作品)を撮るきっかけとなったドキュメンタリー映画『東』が作られた経緯について語った。
「この作品は4作目の『世界』の次の作品で、自分の中で劇映画を撮ったら次はドキュメンタリーを撮ると決めていたんです。国際的に著名な油絵画家リュウ・シャオドンを撮ることを選んだ理由は、1990年に初めて彼の作品を見たときに、その独特な作風の中に中国の若者の日常が映し出されていて、その日常の中に詩的なものが表れていると感じたからです。三峡ダムをテーマに「三峡大偉人」という絵を描く彼を撮っていく過程で仕上がった劇映画が『長江哀歌』だったわけです。昨年のフィルメックスで『長江哀歌』上映していただき、今回も『東』を皆さんに見てもらえて、非常に光栄です。この両方を見ていただいた皆さんには、何か新しいことを発見していただけるのではないかと思います」(ジャ)

舞台挨拶は終始和やかなムードで行われた。長江の流れよりも数倍も速く変革していく中国を、監督のカメラを通してしっかりと目撃した私たちは、監督の言うとおり明日から何か新しいことを発見できるかもしれない。『東』+『私たちの十年』は11月24日(土)にも有楽町朝日ホールにて上映予定。


(取材・文:今坂 千尋)

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投稿者 FILMeX : 2007年11月17日 22:00



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