デイリーニュース
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2007年11月21日 11/21 『ドラマー』Q&A

IMGP3167s.jpg 11月21日、『ドラマー』の上映後、香港のケネス・ビー監督を迎えてQ&Aが行われた。香港で揉め事を起こし、台湾へ逃げた若者が伝統的な太鼓演奏集団に出会い、成長していく様を描くこの作品は、主人公をジャッキー・チェンの息子、ジェイシー・チェンが演じている。ビー監督は、第1回東京フィルメックスで監督初の劇場映画である『スモール・ミラクル』を上映しており、フィルメックスでは今回が2度目の作品上映となった。

市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクターがケネス・ビー監督を紹介すると、会場からはさっそく質問が飛び出した。物語で重要な位置を占める太鼓演奏集団だが、監督はどのような思いで彼らを描いたのだろう。この質問に、ビー監督は次のように答えた。
「Uシアターという太鼓演奏劇団の公演を見て、強い衝撃を受けたことが、この映画を撮ろうと考えたきっかけです。彼らは山奥で生活しながら、座禅を組んだり、少林寺拳法の修行をしたりしています。私はそういった彼らの生活を、ドキュメンタリー的な手法を使って描きました。私はこの作品で、太鼓を叩くということが、ときに人生を変えてしまうほどの体験になり得る、ということを伝えたいと思ったんです。映画の中盤は彼らUシアターの人々の生活を描いていますが、雰囲気を合わせるために、前半の香港でのシーンもドキュメンタリーの手法をとって撮影しています。彼らは、日常で接する分にはとてもチャーミングでごく普通の人たちなのですが、太鼓を演奏しているときはその姿をまるで神様のように感じますね」
IMGP3166s.jpg 本作品の見せ所でもある、本格的な太鼓演奏シーン。主演のジェイシー・チェンさん、アンジェリカ・リーさんらはどれくらいの期間、太鼓演奏のトレーニングを積んだのだろうか。
「二人とも、およそ2ヶ月間のトレーニングを積んでもらいました。リーは自主的に、積極的にトレーニングに励んでくれ、ご飯を食べるようなときも、箸を使ってリズムを取ったりしていたんですよ。一方で、ジェイシーのほうは、あまり喜んで練習してはくれませんでした(笑)彼はUシアターの人の協力を得て、プロに囲まれながら自然にリズムが身につくようにし、練習してもらいました。彼は練習を重ねていく間に、徐々に筋肉もついてきたという感じですね。太鼓を叩く際重要なのは、テクニックではなくて、メッセージや心など、その人の持つ哲学のほうなのだということが、私も撮影を進めていくうちにわかっていきました」

香港の黒社会と、台湾の山奥という、対照的な舞台に焦点を当てた意図についても、会場から質問が寄せられた。「Uシアターの人々の生活を、私は何年もかけてリサーチしました。彼らは、自然や動物を愛する心を、非常に強く持っています。一見すると、私たちが住んでいる都会と彼らの住む山奥では、当然都会のほうが文明的に発達していると思いますよね。しかし、心の面で言うならば、私には彼らのほうが遥かに人間的なのではないかと感じるんです」

前作『ライス・ラブソディ』に続き、映画の中で一つのスキルを極めていく主人公の姿を描くことになった本作。このようなテーマを描くことに、ビー監督はどのような思いを込めているのだろうか。最後の質問にも、監督は具体的に考えを語ってくれた。
「まず、このようなテーマは、役柄が持っている要素を引き立てやすい、ということがあります。また、例えば警察が泥棒を追う、という設定があったとしますよね。(彼らは日常生活とは別の思惑の中で動いているわけですが)普段の人生における行動ともしかしたら何か共通の面も持っているかもしれない。そういった要素があると、物語として非常に描きやすいと思います」

 20分間のQ&Aで、Uシアターの人々や、俳優たちの魅力を熱心に、丁寧に語ってくれたビー監督。次回作にも期待したい。


(取材・文:和田 真里奈)

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投稿者 FILMeX : 2007年11月21日 22:30



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