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2007年11月22日 11/22 『接吻』Q&A

IMGP3298s.jpg 11月22日、有楽町朝日ホールでの『接吻』上映後、万田邦敏監督を迎えてQ&Aが行われた。冴えない毎日を送るOLの京子が、テレビのニュースで知った凶悪殺人犯に興味を抱きのめり込んでいくというストーリーで、ラストは想像を超える展開をみせる。観客席からは熱心な質問が相次ぎ、関心の高さをうかがわせた。

 まず最初に、進行役の林加奈子東京フィルメックスディレクターが京子役の小池栄子さんの起用について万田監督に訊ねたところ、最初に小池さんを推したのは脚本を書いた妻の万田珠実さんで、万田監督も『犬猫』で小池さんの勘の良さや芝居のセンスを感じ賛成した、と起用の経緯を話してくれた。林ディレクターは、客席に来場していた脚本家の万田珠実さんを紹介し、会場からは拍手がわき起こった。

IMGP3314s.jpg 続いて観客との質疑応答となり、「小池さんが素晴らしく『アデルの恋の物語』のイザベル・アジャー二を思い出した。小池さんが手紙を書いたり、「ハッピーバースデー」を歌いながらロウソクに火をつけるシーンがあるが、この辺の演出は『アデルの恋の物語』を意識されたのか」という質問があがった。
「手紙を書くシーンについて撮影をどのようにしようか考えていました。それで『アデルの恋~』を思い出して、ビデオで見直しました。書くのを実時間でみせると画(え)がダレる。どうやったかというと、しゃべりながら手だけ動いている。それで書いてるようにみせる。それ以上の手を思いつかなかったので、そのまま真似をさせていただきました」(万田)
 また、大好きな『アデルの恋~』からは、京子の強い芯のある感じについても影響を受けたのかもしれない、と付け加えた。

 また、「獄中結婚」のエピソードついて、実際にあった宅間守死刑囚の獄中結婚がモチーフになっているのか、という問いに対しては、
「仙頭武則プロデューサーから「獄中結婚もの」で何かできないかというお話をもらいました。宅間事件があって獄中結婚が報道され、しばらく経っていたころになります。プロデューサーとしては何かきわどい線を狙っていたんだと思いますが、あまり実際の事件には深く入り込みたくないというか、そうではないもので獄中結婚を扱えないだろうかと考えました。実際に脚本を書くにあたってはインターネットで宅間事件や獄中結婚について調べたりもしましたが」と、作品が企画された経緯に触れながら答えてくれた。

 最後の質問は、「黒沢清監督の『アカルイミライ』(第3回東京フィルメックスで上映)にいくつかの共通点を感じたが、意識されたのでしょうか」というもの。
「全く意識しませんでした。ただ、たしかに言われてみると類似する部分はいくつかあるので、もっと意識しておけばよかったなと思いました。いくつか設定とか状況が似ているかもしれませんが、それらの要素がどのように展開していくかに関しては『アカルイミライ』とは全く関係しない、全く別の展開の映画だと思っています」という万田監督の回答に、質問した男性も、万田監督と黒沢監督の違いがよく出ていて面白かった、と頷いた。

 最後に客席に来場していた、音楽を製作・プロデュースした長嶌寛幸さん、アソシエイトプロデューサーの佐藤公美さんが紹介され、会場には再び温かい拍手が起こった。

『接吻』は、2008年3月にユーロスペース他にて公開予定。


(取材・文:鈴木 自子)

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投稿者 FILMeX : 2007年11月22日 21:00



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