Filmmakers’ Homecoming
フィリピン / 2019 / 85分監督:アリックス・アイン・アルンパック ( Alyx Ayn ARUMPAC )
麻薬患者や売人をその場で射殺する権利を警察に与えたフィリピンのドゥテルテ政権。その政策の下で苦闘する人々を追ったドキュメンタリー。題名はフィリピンの民間伝承に登場する妖怪の名からとられた。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で上映。日本では東京フィルメックスのコンペティション部門にて初上映された。
監督:アリックス・アイン・アルンパック ( Alyx Ayn ARUMPAC )
フィリピン出身のドキュメンタリー映画作家。ポルトガル、ハンガリー、ベルギーの3国にまたがる映画学校「ドック・ノマッズ・エラスムス・ムンドゥス」でドキュメンタリー製作の修士号、フィリピン大学で映画の学士号を取得。また、マニラの主要テレビ局にて短編ドキュメンタリー作品を監督・プロデュースしている。タレンツ・トーキョー2015に参加。
監督ステートメント
私がこの映画の撮影をはじめた2016年、殺された数は5000人ほどだった。それ以来、この数字は4倍以上に増え、未だにこのとどまる気配はない。一世代前に行われた独裁政権と同じように、彼らは活動家を逮捕し、聖職者を殺害し、大統領と政府に反発する者を攻撃しはじめました。彼らの政権はまだ2年目であり、少なくともあと4年は政権を握り続けます。まるで、容赦のない長い悪夢を生きている心地だ。 撮影し始めた最初の月、私は頭をテープで巻かれ、拷問され、刺殺されている男を見た。彼の後を追わぬようにと警告が書かれたダンボールが彼の身体のそばには置かれていた。私はこのようなものを何度も見ることになり、最も多いときには一晩に8人を、一週間に複数の夜に見た。ある日、私は警察の死体処理の様子を撮影している最中、知らぬ間に茂みに隠されていた死体を踏んでしまった。私は自分のカメラに夢中になっていたため、死体がそこに横たわっていることにも気づかなかった。その夜も他の夜も、殺人者とかくれんぼをしているようだった。 私はしばしば「ドキュメンタリーを製作することは映画作家を永遠に変えてしまう」と聞く。それがどれほどの変化なのかは想像もつかない。私は地元テレビ局で時事問題についての番組を制作し、プロとしてのキャリアのほとんどを真実や現実を示すために街や人々の生活を記録し続けてきた。詩人や映画作家たちがどのようにマニラの砂利や汚れを描写していたかを見るために、私は10代の頃にマニラの路地を歩き回った。マニラは私の故郷であり、私の愛する人々が暮らしている。だが、街が今だけ私にその正体を解き明かしているように感じる。
11月3日(金・祝)18:30 -
ヒューマントラストシネマ渋谷
11月7日(火)20:20 -