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国際映画祭で受賞した話題作・秀作、そしてこれから世界の映画祭を沸かせる最新の日本映画を紹介します。いずれも強烈な作家性が発揮され、現在の世界の映画製作の最先端のトレンドがうかがえるでしょう。
★オープニング作品★
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エルミタージュ幻想 / Russian Ark
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ドイツ・ロシア・日本/2002年/96分/カラー/1.85
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:セルゲイ・ドレイデン、マリア・クズネツォワ 特別出演:バレリー・ゲルギエフ
配給:パンドラ
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エルミタージュ美術館を舞台に、帝政ロシア時代の様々なエピソードが96分間ワン・カットで華麗に再現された傑作。撮影にはハイビジョン・カメラが使用され、先端技術と芸術性とが見事に融合された。本年度カンヌ映画祭コンペティション参加作品。
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★クロージング作品★
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月曜日に乾杯! / Monday Morning
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フランス・イタリア/2002年/122分/カラー/1.66
監督:オタール・イオセリアーニ
出演:ジャック・ビドゥー、アンヌ・クラフツ=タラナフスキー
配給:ビターズ・エンド
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日常に疑問を感じた中年男が、ある朝、仕事も家族も置いてヴェニスへと旅立つ。ハプニングに見舞われながらも、一風変わった人々との出会いや、ヴェニスの風景が彼の心を軽くする。『素敵な歌と舟はゆく』の名匠による、人生への慈しみにあふれた愛すべき作品。本年度ベルリン国際映画祭銀熊(監督)賞を受賞。
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オアシス / Oasis
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韓国/2002年/132分/カラー/1.85
監督:イ・チャンドン
出演:ソル・ギョング、ムン・ソリ
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『ペパーミント・キャンディー』で国際的な注目を集めたイ・チャンドンの待望の監督第3作。刑務所を出所したばかりの男と重度脳性麻痺のヒロインを主人公に、社会から疎外された二人の純粋な愛を描く。本年度ヴェネチア映画祭で監督賞、新人俳優賞(ムン・ソリ)などを受賞した。
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チャンピオン / Champion
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韓国/2002年/117分/カラー/2.35
監督:クァク・キョンテク
出演:ユ・オソン、チェ・ミンソ
配給:メディア・スーツ
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『友へ チング』の監督クァク・キョンテクと主演ユ・オソンが再びタッグを組み、世界タイトルマッチ後に死亡した実在のボクサー、キム・ドゥックの半生を描く娯楽大作。本物のボクサーと見まがうばかりに肉体を鍛え上げたユ・オソンの渾身の演技が見る者の胸をうつ。
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青の稲妻 / Unknown Pleasures 任逍遥
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中国・日本・韓国・フランス/2002年/112分/カラー/1.85
監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
出演:チャオ・タオ、ウー・チョン
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
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まだ見ぬ享楽を求め突っ走る若者たち。彼等が抱える未来への期待と不安──不器用なココロが刻む青春模様。世界がその才能に注目しているジャ・ジャンクー監督の長篇第3作。山西省大同(ダートン) を舞台に激変する中国の"現在"を鮮烈に描ききる。本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品。
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幽霊人間 / Visible Secret 幽霊人間
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香港/2001年/98分/カラー/1.85
監督:許鞍華(アン・ホイ)
出演:スー・チー、イーソン・チャン、サム・リー、アンソニー・ウォン
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ディスコで偶然出会った美女と恋に落ちた主人公の周囲に次々と起こる怪異な出来事を描く。香港を代表する女性監督アン・ホイが傑作『ザ・スプーキー・バンチ』(80)以来久々に手がけたサイコ・ホラー。地下鉄内シーンが恐怖感を煽ることに対し地下鉄公社より苦情が寄せられたことも話題となった、大ヒット作。
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ケドマ / Kedma
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イスラエル/2002年/100分/カラー/1.85
監督:アモス・ギタイ
出演:アンドレイ・カシュカール、ヘレナ・ヤラロヴァ、ユーセフ・アブ・ワルダ
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イスラエルの巨匠ギタイの最新作。1948年、ホロコーストを逃れ、約束の地を求めてパレスチナにやってきたユダヤ人たちが直面する現実を激烈な戦闘シーンの中に描き、パレスチナ問題の原点を問う力作。本年度カンヌ映画祭コンペティションに出品され、論争を呼んだ。
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マラソン / Marathon
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アメリカ/2002年/74分/モノクロ
監督:アミール・ナデリ
出演:サラ・ポール
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地下鉄の中、二階建てバスの座席、街頭、至るところでクロスワード・パズルを解き続ける一人の女性。イラン映画の一時代を築いた巨匠が、極めてインディペンデントなスタイルでニューヨークの風景を様々な暗喩に満ちた映像で切り取る。
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アカルイミライ / Jellyfish Alert
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日本/2002年/115分/カラー/1.85
監督:黒沢清
出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、笹野高史、りょう、加瀬亮
配給:アップリンク
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世界がその新作を待望する黒沢清の最新作。相容れない価値観をもつ者たちが共存する現代社会を、世代間のギャップを交えて描く。全編がハイビジョンとデジタルビデオで撮影されており、渋い色調で統一された風格ある映像が素晴らしい効果をあげている。
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曖昧な未来・黒沢清 / KUROSAWA KIYOSHI Alert
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日本/2002年/74分/カラー
監督:藤井謙二郎
出演:黒沢清、オダギリジョー、浅野忠信
配給:アップリンク
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黒沢清監督作品『アカルイミライ』の撮影現場に密着したドキュメンタリー。監督、出演者、スタッフへのインタビューを中心に、いわゆるメイキングものの枠を越え、世界が注目する映画作家・黒沢清の創造の秘密へと迫る。監督は『≒森山大道』で注目された藤井謙二郎。
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幸福の鐘 / The Blessing Bell
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日本/2002年/87分/カラー/1.85
監督・脚本:SABU
出演:寺島進、西田尚美、鈴木清順、板尾創路、篠原涼子、益岡徹
配給:東北新社
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コンスタントに快作を連打してきたSABUが監督6作目にして、これまでの作品のスタイルから離れて新たな領域に挑んだ作品。一人の男の視点を通し、家を焼け出された母子、病院で死んでゆく老人など、様々な境遇の人々が描写される。主人公を演じる寺島進の存在感が圧倒的。
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六月の蛇 / A Snake of June
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日本/2002年/77分/アシディック・ブラック&ホワイト*/1.33
監督:塚本晋也
出演:黒沢あすか、神足裕司、塚本晋也、寺島進、不破万作、田口トモロヲ、鈴木卓爾
配給:ゼアリズエンタープライズ
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見知らぬ男からの電話をきっかけに、何一つ不自由なく暮らしていた夫婦それぞれが秘めていた欲望が次第に露わにされてゆく。降りしきる雨の中に展開される非日常的空間を捉えた映像が驚くほど美しい。本年度ヴェネチア映画祭コントロコレンテ部門審査員特別賞受賞。
*アシディック・ブラック&ホワイト=コンクリートにしみた水の色。本作はモノクロ・ネガで撮影をし、カラーポジ・フィルムに青色を強調してプリントした
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黒水仙 / The Last Witness
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韓国/2001年/106分/カラー/2.35
監督:ペ・チャンホ
出演:アン・ソンギ、イ・ジョンジェ、イ・ミヨン
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ある夜、海に浮かび上がった男の死体。事件を担当する刑事は、その男が朝鮮戦争当時の疑惑に関係しているという事実をつかむ。やがて刑事は“黒水仙”というコードネームを持った悲運のパルチザンの存在に行き着くが、事件を追及する刑事を次々と奇妙な出来事が襲う‥‥。
製作費40億ウォンを投入、一部日本ロケまで敢行されたミステリー・アクション大作。東京フィルメックス・コンペティションの審査委員長を務めるアン・ソンギが演じるのは、かつてのパルチザンの闘士で、長い服役の末に釈放された老人。その抑制の効いた名演技と圧倒的な存在感はこの作品でも健在で、とりわけラスト・シーンの演技に感銘を受ける。監督は韓国の巨匠、ペ・チャンホ。
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