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2005年11月23日

「やわらかい生活」 Q&A

「やわらかい生活」の上映前に廣木隆一監督と主演の寺島しのぶさんの舞台挨拶があり、お二人から簡単なご挨拶を頂きました。監督からは東京フィルメックスに参加できたことをうれしく思いますと、また寺島さんからは躁うつ病である主人公の役柄に入り込みすぎて、病院に行くくらいにがんばって演技をしたというお話をいただきました。
上映後は廣木監督を招いてのQ&Aを行いました。

林ディレクター:廣木さんをこの作品で東京フィルメックスにいらしていただける機会が得られて光栄です。廣木監督と主演の寺島しのぶさんとなると当然「ヴァイブレーター」が浮かびますが、どういう企画の流れから今回また組まれることになったんでしょうか。

A:次回作の話をしている時に、プロデューサー・脚本家と相談した結果です。(自然発生的な感じで)寺島さんが最後に参加してくれて、この映画が成立したという感じです。

Q:とても蒲田という町を驚くほどよく知った上で描かれていると思いました。このためにロケハンをされたと思いますが、そのときの苦労話などお聞かせください。

A:ロケーションでの苦労では、車が入れらなかったり、止められなかったりするところが多く、徒歩移動をしながら撮影したのが一番思い出されます。あとは、カットが非常に長いので、人止めをするのに製作さんは本当に大変だったと思います。後ろの方でけんかをしているのを耳にしながら撮影を進めたりしていました。

林:「粋」のない下町と言いながら、蒲田の町の透明感というか空気というのがすごく心に焼き付けられました。またいろんな時(時間)の”町”というのを意識して撮っていらっしゃると思ったのですが・・・

A:そうですね。早朝シーンで妻夫木君と寺島さんが会う駐車場のシーンなどは朝の3時ぐらいにスタンバイして、一瞬の時間を狙って撮りましたし、観覧車のシーンも同様に狙って撮っています。普通に撮ると(画が)べたっとしてしまうと思い、空気の色というのは大切にしようと撮影の鈴木君と話しました。

Q:今後、任侠極道映画を撮る予定はないのでしょうか。また、監督から見た寺島しのぶさんと豊川悦司さんの魅力を教えてください。
A:仁侠映画の話があるんですか? あるんでしたら撮って見たいですが。寺島さんと豊川さんの魅力というのは・・・(笑)もう本当にそのままですけれども・・・寺島さんは芝居に対する集中力はとてもあり、逆に彼女に引き摺られて撮るくらいのテンションが現場で既に出来ている人なので、それはすごいと思いました。豊川さんは多くの映画に出演されている方なので、主役(頭)と脇の感じの芝居のニュアンスを非常によく知っているし、映画もよく知っているので、指示の通りすぐにできるのはすごい役者さんだと思います。

Qカラオケ屋さんのシーンがすごく印象的だったのですが、なぜ選曲が尾崎豊だったんでしょうか。また、主人公の2人はあの曲はご存知だったんでしょうか。練習はされたんでしょうか。

A:主人公たちの年齢設定は35歳くらいで、それくらいだと尾崎豊というのが彼らの青春の中にあったというのが一つの理由であり、もう一つは脚本家の荒井さんが好きだったということです。それと、2人ともほんとはすごく歌はうまいんです、一応言っとこう(笑)

Q:「ヴァイブレータ」の撮影ではビデオが軽やかで、相当きつい状況の中でうまくビデオを使いこまれている、撮影の鈴木さんの見事さを感じました。今回は35mmのフルカメラを使われたと思うんですが、この作品に適していると思います。今回の撮影で監督と鈴木さんが狙いたかった作品的な色というかトーンは何だったんでしょうか。

A:基本的には「ヴァイブレーター」と違う撮り方をしようと思っていました。同じことをまたやるのではなく、違うことにチャンレジしていきたかったのと、今回は作品のカラーが違う映画だということもありました。デジタルビデオに比べて、フィルムのほうが奥行きがあり、質感や色に微妙ものが出せるというところが一番違うと思います。実際の蒲田よりすごくきれいに写っていると思います。蒲田に住んでいる方ごめんなさい。

(林:前半の蒲田の空気感のある町と後半の密室内のシーンの緊張感の途切れないというのはすごいと思います。)

Q:先ほど舞台挨拶で女優さんが病院に行ったと仰っていましたが、どういう状況だったんでしょうか。

A:集中しすぎたんですね。豊川さんとけんかをするところ、お互いの心情を言うところがあって、そこのシーンは精神的にきついのと、病気になってからの寺島さんの役作りというのは入り込んでいるということになり、体力的にも精神的にもきつかったと思います。

Q:英語に関しての質問ですが、英語タイトルの「It's Only Talk」は原作(同名)から来たものですか。また、それと邦題「やわらかい関係」とはどういう関係があるんでしょうか。また、原作が蒲田を舞台にしているのですか。映画の中で、金魚に「うどん」と「そば」という名前をつけていますが、英語字幕では"Laurel"と"Harley"となっているんですが、どなたのアイディアでしょうか。監督はそれに対してどう思われますか。"Laurel"と"Hardy"は有名なアメリカの喜劇俳優のコンビなんですが。

A:僕は英語はそれほど得意ではないので、翻訳者にお任せしてしまっています。「It's Only Talk」という原作を映画にしたものですが、原作も蒲田を舞台にしています。:「It's Only Talk」というのはロックのタイトルにもあるんですが、今回はそれを使わず、「やわらかい生活」のほうがみんなに浸透するかなと思い、このタイトルにしました。

この映画は松竹によって2006年初夏に公開予定です。

投稿者 FILMeX : 2005年11月23日 15:30


 
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