デイリーニュース
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2005年11月25日

「あひるを背負った少年」 Q&A

●監督から観客へ一言
今日は、この場所に招いていただいて、そしてここで映画を上映していただいて、本当に嬉しく思います。10ヶ月間、大変つらい思いをして撮った映画が、完成できて幸運に思います。低予算で撮ったこの作品が、皆様に観ていただけることができて嬉しいです。

Q1、この作品は、監督の長編デビュー作ですが、何故このような題材を選んだのですか。

A1、主人公は11歳の時に父親と離別していますが、実は自分自身も同じような経験をしています。それ故、父との別れが、その後の物の見方に影響しています。映画の勉強をした後、私は西南地区で生活しはじめました。中国は土地が違えば、色々な暮らしがあります。私自身は東部の出身ですが、西南地区での生活を経験し、幼い頃の心の遍歴と、西南地区の人々の暮らしをあわせて映画にしました。そして、父に対する思いをまとめ、こういった題材を選ぶことにしました。

Q2、押し迫る緊迫感が、洪水によって効果的に演出されていましたが、あの洪水は実際に起こったものなのですか。

A2、撮影をした地区は、洪水が多発する地区であり、97年には大きな洪水で家屋が水没し、大変な被害を受けまして、住民は20日後に漸く帰宅できたほどでした。97年から2005年にかけて、頻繁に洪水が起こりましたが、97年程ではありませんでした。洪水とは、この地区を象徴するものであり、人々は洪水がやってくるので、引越しの準備をしており、その様子が印象的だったのを覚えています。
この洪水のシーンは、ニュースフィルムから取ったものですが、大雨のシーンは、7~8ヶ月の間、大雨がやってくるのを待って撮ったものです。我々には、消防車を頼んで、雨を降らせてもらうお金がなかったので、そうやって、何ヶ月も待つしかなかったのです。
今年もまた、西南地区は大雨に見舞われました。

Q3、根本的な質問ですが、少年は何故あひるを背負わなければならなかったのですか。

A3,この少年は、父親を探しに行って、街でしばらく生活しなければならないと思ったので、あひるを売って生活費にしようと思い、あひるを背負って行ったのです。映画の中で、刀傷の男が、お金を出してあひるを買いますよね。

Q4,この映画に出ている人は、ノンプロであり、また、あひるという動物の出てくる映画ですが、演出の点で大変だったのではないですか。

A4,出演者は地元の方々で、80%はプロデューサーの親戚や家族一同です。主人公の少年は、プロデューサーのお父さんの大親友の息子さんで、プロデューサーのことを「お姉さん」と呼ぶような仲です。その他の人も、ホテルを経営している人や、タクシーの運転手、街のチンピラなどです。刀傷の男は、実際にチンピラで、街でショバ代を要求する人なんです。私が、映画の出演のことで電話したとき、彼はお金に関することだと思い、ショバ代を集めるお願いをしてきたと勘違いしました。
また、あひるは、お金がなかったので、たった二羽しか買えず、撮影中の10ヶ月間ずっと飼っていました。最初の頃は、芝居ができませんでしたが、最後の2ヶ月くらいになると、演技が上手になってきました。ずっと撮影中飼っていたので、情が移ってしまい、最後は食べるなんてせずに、お寺に預けて、えさ代のお金を置いていきました。

Q5、この映画は完成までにどのくらいかかり、どんな苦労がありましたか。

A5、この映画はポスプロを除いて、撮影だけに10ヶ月かかりました。出演者が地元の住民の方々だったので、皆自分の仕事や家族のことで忙しい中、すべてノーギャラで出てくれました。その方たちの都合を手配するのに、かなり苦労しました。また、製作費が少なく、一番寒い時期に、撮影を2ヶ月中断せざるを得ませんでした。その間、別のアルバイトをして稼いだお金を、製作費に充てたりしました。

投稿者 FILMeX : 2005年11月25日 15:50


 
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