2024.11.30 [Sat]NEW
第25回東京フィルメックス・コンペティションの審査員は以下の作品に賞を贈ります。
第25回東京フィルメックス・コンペティション 受賞結果
Award Results for TOKYO FILMeX Competition 2024
最優秀作品賞 Grand Prize
監督:デア・クルムベガスヴィリ(Dea KULUMBEGASHVILI)
フランス、イタリア、ジョージア / 2024 / 134分
授賞理由:
この大胆で冷徹な長編映画は、保守的な農村地帯で女性が直面する厳しい現実を突きつけている。彼女たちの自由は、それが身体に関わるものであろうと欲望の表現に関わるものであろうと、絶え間ない闘いである。監督は、骨太なリアリズムとシュールレアリズム的なホラーを融合させ、吸い込まれるような挑発的な体験を生み出している。緻密で丹念に作り込まれた撮影は、観客の視線を捉え、私たちの視点や関わりを積極的に考えさせる。この作品は、形式的な勝利であるとともに計り知れない関連性と共鳴性をもつ作品である。
This bold and unflinching feature confronts the harsh realities faced by women in a conservative, rural community. Their freedom is a constant battle, whether it concerns their bodies or the expression of desires. The filmmaker combines gritty realism with surrealist horror to create an absorbing and provocative experience. The precise and meticulously crafted cinematography draws attention to the viewers’ gaze, compelling us to actively reflect on our perspectives and involvements. This film is equally a formal triumph and a work of immense relevance and resonance.
~副賞として賞金70万円が監督に授与されます。
審査員特別賞 Special Jury Award
監督:サンディヤ・スリ(Sandya SURI)
インド、イギリス、ドイツ、フランス / 2024 / 120分
授賞理由:
容赦ないストーリー展開のダークスリラーで見事に演じられた女性キャラクターを通じて、社会の硬直性と不平等を痛烈に描き出している。舞台は現在のインドではあるが、世界中に蔓延している妥協と呼応している。
The jury prize goes to Santosh, a dark thriller with a relentless storyline that, through a masterfully interpreted female character, takes a burning look at the rigidity and inequalities within society. The action takes place today in India but echoes the compromises that persist throughout the world.
~副賞として賞金30万円が監督に授与されます。
スペシャル・メンション Special Mention
監督:チャン・ウェイリャン(CHIANG Wei Liang)
共同監督:イン・ヨウチャオ(YIN You Qiao)
台湾、シンガポール、フランス / 2024 / 128分
授賞理由:
この映画は、その説得力のある映画言語によって、闇、汚辱、残酷な現実を力強く描き出し、人間の本性の深さに立ち向かう勇気を示している。
The film powerfully portrays darkness, filth, and brutal reality through its compelling cinematic language, while showcasing the courage to confront the depth of human nature.
<第25回東京フィルメックス コンペティション審査員>
ロウ・イエ ( LOU Ye / 中国 / 映画監督 )
カトリーヌ・デュサール( Catherine DUSSART/ フランス / 映画プロデューサー )
ラ・フランシス・ホイ( La Frances HUI / アメリカ / キュレーター )
上映時に来場の観客の投票により、次の作品が観客賞に選ばれました。
観客賞
監督:ロウ・イエ(LOU Ye)
シンガポール、ドイツ / 2024 / 107分
学生審査員賞
監督:サンディヤ・スリ(Sandya SURI)
インド、イギリス、ドイツ、フランス / 2024 / 120分
授賞理由:
サスペンスフルなドラマの面白さとそこから浮かび上がる社会構造の描き方に驚かされました。人物の魅力を引き出すカメラワークからは、映画の持つ繊細で挑戦的な力強さを感じました。終盤、通り過ぎる電車越しでコマ送りのようになるふたりのショットが、息を飲むほど素晴らしかったです。
We were captivated by the intriguing suspenseful drama and how it subtly revealed the underlying social structures. The cinematography highlighted the characters' depth, giving the film a delicate yet powerful sense of what cinema is all about. The frame-dropped shot through the passing train was breathtakingly beautiful.
<学生審査員>
川島佑喜( KAWASHIMA Yuki / 武蔵野美術大学)、眞島淳之介( MASHIMA Junnosuke / 東京造形大学)、火宮遼哉( HINOMIYA Ryoya / 明治学院大学 )
タレンツ・トーキョー・アワード2024
~副賞として主催者より、賞金30万円が受賞者に授与されます。
「The Rivers Know Our Names 」(マイ・フエン・チー(MAI Huyền Chi )/ベトナム)
授賞理由:
急速に発展している国の中で、社会から疎外されたコミュニティをつぶさに観察したプロジェクトにタレンツ・トーキョー賞を授与できることを審査員一同光栄に思います。この作品は、特に若い女性と年老いた女性の2人に焦点を当て、力強いイメージを通して丁寧に人物を描写し、コミュニティにおける個人の強さと癒しの可能性を描き出しています。タレンツ・トーキョー・アワードをマイ・フエン・チー監督の「The River Knows Our Names」に贈ります。
The jury is honoured to give the Talents Tokyo Award to a project that is an intimate observation of a marginalized community in a rapidly developing country. It shows a careful character portrayal through a strong imagery, focussing especially on two women, one young and one old, and thus portraying the strength of the individual in a community and the possibility of healing.
スペシャル・メンション
「The Vision of Lonely Mountains」(ハグヴドラム・プレヴオチル(Lkhagvadulam PUREV-OCHIR)/モンゴル)
「Dollyamory」(畠山佳奈(HATAKEYAMA Kana)/日本)
「Naked in Glendale」(ヤン・ハオハオ(YAN Haoaho)/中国)
<タレンツ・トーキョー2024 エキスパーツ(講師)>
アノーチャ・スウィチャーゴーンポン(映画監督)、アレンバーグ・アン(プロデューサー)、イザベル・グラシャン(ワールド・セールス)、ニコラ・ヨーツェ(ベルリン映画祭)