「息もできない」(監督:ヤン・イクチュン)
(Breathless/韓国/2008年)
副賞として賞金100万円が監督に授与されます。 【受賞理由】
わたしたち審査員一同は、この素晴らしい初監督作品に賞を授与することを決めました。この作品は、映画において、ある種の化学反応ともいえる困難な作業を成し遂げています。つまり、さまざまなジャンルや時に極端なまでの感情表現を織りまぜることに成功しているのです。おどけたコメディやメロドラマ、そして悲劇を織りまぜながら、この作品は韓国の近現代史における、そして今日(こんにち)の社会や家族の中に存在する暴力についての本質が監督の深い洞察力によって描かれています。さらに、審査員一同が特に感銘を受けたのは、主演俳優であり監督であるヤン・イクチュンの演技です。彼は自らの作品の中で、強烈な存在感を持って生きていたといえるでしょう。 「ペルシャ猫を誰も知らない」(監督:バフマン・ゴバディ)
(No One Knows About Persian Cat/イラン/2009年)
副賞としてコダック株式会社より8,000米ドル相当の生フィルムが監督に授与されます。 【受賞理由】
私たち審査員一同は、バフマン・ゴバディ監督の『ペルシャ猫を誰も知らない』を見て大変感銘を受けました。抑圧的な社会で音楽を通じて自由に自己表現をしようとする人々を描きながら、この作品はフィクションとドキュメンタリーの区別を越えてさまざまな映像言語を効果的に使うことに成功しています。自由への模索を表現する素晴らしい音楽の使い方がとりわけ秀逸で独創的であると考えます。