東京学生映画祭の主催による「学生審査員賞」を、2011年に創設しました。 審査員を務めた3名の学生審査員より、「審査を終えて」のコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。
ここにもある通り、審査は大変に白熱し、充実したものとなりました。 彼らの熱い気持ちが作り手や、観客の皆様に届くことを願ってやみません。 次回の学生審査員にご興味をお持ちになった学生の皆様は、東京学生映画祭にお問い合わせください。
東京学生映画祭 ≫ http://tougakusai.jp/
各学生審査員コメント
≫竹中貞人 (TAKENAKA Sadato) ≫かつりか (KATSU RIKA) ≫十河和也 (SOGO Kazuya)
竹中貞人 (TAKENAKA Sadato)
大阪芸術大学卒
監督作品: 『虎穴にイラズンバ』東京学生映画祭 観客賞受賞/京都国際学生映画祭入選/TAMA NEW WAVE映画祭ある視点部門入選/はままつ映画祭入選
審査員という立場からアジア各国の映画を観て、“異文化を知る”という映像がもたらす大義を改めて認識できた。
アジアの映画には“劣悪な環境下でのセックス”“貧困”など共通するものが多く、“富裕層は敵”といった構図が結局のところ映画という映像媒体を介して「リアル」をむき出しにしている気がした。
どの地域に住んでいようが、作家の等身大がそこには描かれていて、たくさんの刺激を受けた。
地域の環境下やそこに住む人々を繊細に、丁寧に描くことで登場人物たちの発する一言が感情の琴線に触れる。ということは実感を持って体感できたし、これから意識していかなければいけない部分でもあった。
人生で初めての審査員という立場から映画に触れられたことは貴重な経験だったし、“違ったアプローチ”という現在の課題へのヒントをもらえる良い機会だった様に思う。
本当に貴重な体験をありがとうございました。
かつりか (KATSU RIKA)
慶應義塾大学卒
監督作品: 『10年後の君へ』AOYAMAFILMATE 2015 準グランプリ/『今日も、今日とて』第28回東京学生映画祭本選出場
評価することと、評価されること。
私はずっと、賞が、何か目に見える形が欲しかった。
今も絶賛欲しいのだが、そんな私が今回この学生審査員というお話をいただいた時、真っ先に思ったのが何をもって賞とするか、ということである。
つまりは賞の基準である。
国際審査員賞や、観客賞とはまた違う学生審査員賞。
学生映画をつくってきた私たちだからこそ、そして、20代という私たちにしか選べない基準を、私たちは持ちたかった。
結果、しっかりとした基準が持てたかはわからないが、賞を渇望していた側から一瞬でも賞を差し上げる側にまわったことで、賞って結構真剣に話し合わないとマジで決まらねぇんだな、と思った。
今回の学生審査員賞にさせていただいた『普通の家族』のエドゥアルド監督が、賞に対して嬉しい、と思ってくれていたら、それはこの上なく幸せだなと思う。
と、色々書きましたが、10本の映画を友人達と観て、あれやこれやと意見を言い合った東京フィルメックスの一週間は、まるで学生時代のような時間で、私のなかでこの上ない輝きを放つ思い出深い日々となりました。
本当に心から楽しかったです。
このような素敵な思い出をくださり、本当に皆様ありがとうございました。これで明日も現実と闘えます。
十河和也 (SOGO Kazuya)
明治大学
第28回東京学生映画祭企画委員副代表/第6回日本学生映画祭実行委員会実行委員長
尊敬する、同年代を生きる先輩2人とともに、審査員という立場でこの10本と向き合えたことを嬉しく、また誇らしく感じています。
今年の2月、自宅で『虎穴にイラズンバ』『今日も今日とて』を見ながら、手に汗握るような思いを抱きながら、この映画を撮った人はどんな人なんだろう、と想像を膨らませたものでした。
学生審査員賞に選ばせていただいた『普通の家族』は、フィルメックス最終日の段階では、日本での公開が決まっていない、とのことでした。「もう一度見たい」と願ってもそれは叶わず、もし私に配給できる力があれば、と唇を噛みました。
エドゥアルド監督と少し話をする時間がありました。若い方々に評価されたことが何より嬉しいと、言葉をくれました。
この映画の監督は絶対にこの人だ、という、上手く言葉にできない、その人のことを少し前からよく知っていたような、感覚を味わいました。竹中さん、かつりかさんと5月に初めて会ったときのように。
一度きり、が生む素敵な体験がもちろんある一方で、後に寂しくなることもあります。
人、との出会いはそれでも、きっと一生消えなくて、映画祭の魅力を、改めて感じることができた1週間でした。
貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。