今年も映画の最先端を切り拓いてゆく、気鋭の監督たちのとびきりの新作をご紹介します。いずれも強烈な作家性が発揮された、これらのバラエティ豊かな作品からは、映画の多彩さがうかがえるでしょう。
『ひそひそ星』 The Whispering Star 【オープニング作品】
日本 / 2015 / 100分
監督・脚本:園子温 (SONO Sion)
配給:日活
監督・脚本:園子温 (SONO Sion)
配給:日活
ロボットが8割、人類が2割になった未来の宇宙を舞台に、様々な星を巡って人間たちに荷物を届ける宇宙宅配便の配達アンドロイド、鈴木洋子を主人公にした物語。壮大な宇宙を旅しながら、3・11の傷跡残る福島を舞台とする、ユニークでリリカルなSF映画の傑作。
©SION PRODUCTION
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『山河ノスタルジア』 Mountain May Depart 【クロージング作品】
中国、日本、フランス / 2015 / 125分
監督:ジャ・ジャンクー(JIA Zhangke)
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
監督:ジャ・ジャンクー(JIA Zhangke)
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
急激に発展する中国社会で翻弄されながらも力強く生きる一人の女性の半生を、過去・現在・そして未来と26年にわたる壮大なスケールで描いた傑作。野心的な実業家との間に、結婚、出産、離婚を経験したタオは、父親の葬儀で離れて暮らす息子と再会するが……。
© Bandai Visual, Bitters End, Office Kitano
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『タクシー』 Taxi
イラン / 2015 / 82分
監督:ジャファル・パナヒ (Jafar PANAHI)
監督:ジャファル・パナヒ (Jafar PANAHI)
公式には映画製作活動をいまだに禁止されているジャファル・パナヒの最新作。テヘランの街を走るタクシー運転手に扮したパナヒと乗客たちの会話から、現在のテヘランに生きる人々の様々な姿が照射される。今年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞した。
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『念念』 Murmur of the Hearts
台湾、香港 / 2015 / 119分
監督:シルヴィア・チャン (Sylvia CHANG)
監督:シルヴィア・チャン (Sylvia CHANG)
台東の沖にある美しい島、緑島で生まれ育つも両親の離婚で離ればなれになった兄妹ナンとメイ。シルヴィア・チャンの監督としての最新作『念念』は、成長した兄妹に、メイの恋人シァンを絡め、3人の若者たちの心の葛藤を繊細かつ大胆に描いた力作である。
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『最愛の子』 Dearest
中国、香港 / 2014 / 130分
監督:ピーター・チャン (Peter CHAN)
配給:ハピネット、ビターズ・エンド
監督:ピーター・チャン (Peter CHAN)
配給:ハピネット、ビターズ・エンド
3歳で誘拐され、3年後に発見された男の子。だが彼は、実の親を覚えておらず、誘拐犯の妻を母親と慕って別れを嘆き悲しむ。2014年のヴェネチア映画祭で好評を博したピーター・チャン監督最新作。香港電影金像奨ではヴィッキー・チャオが主演女優賞を受賞した。
© 2014 We Pictures Ltd.
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『華麗上班族』 Office
中国、香港 / 2015 / 118分
監督:ジョニー・トー(Johnnie TO)
監督:ジョニー・トー(Johnnie TO)
シルヴィア・チャンが脚本・演出を手がけてきた舞台をミュージカル映画化。本作でチョウ・ユンファ、シルヴィア、ジョニー・トーの香港映画80年代黄金トリオが奇跡的に復活した。ウォン・カーウァイ作品で知られるウィリアム・チャンによるゴージャスな美術も見所。
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『約束』 Promise 『昼も夜も』 Lifeline
日本 / 2011 / 15分(『約束』)
日本 / 2014 / 69分(『昼も夜も』)
監督:塩田明彦 (SHIOTA Akihiko)
日本 / 2014 / 69分(『昼も夜も』)
監督:塩田明彦 (SHIOTA Akihiko)
塩田明彦監督がウェブサイトのために監督した2本の短編『約束』『昼も夜も』をスクリーンで上映。塩田は両作品を作るにあたり、ラフな脚本を元に少しづつ肉付けしてゆくという自主映画時代の方法論を適用したという。その意味では原点回帰とも言える両作品である。
© 2014「昼も夜も」Partners
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『あの日の午後』 Afternoon / 那日下午
台湾 / 2015 / 137分
監督:ツァイ・ミンリャン (TSAI Ming-liang)
監督:ツァイ・ミンリャン (TSAI Ming-liang)
ツァイ・ミンリャンの最新作は、フィックスされたカメラでツァイと彼の全ての映画の主演俳優リー・カンションとの対話を記録した感動的な作品である。ツァイの近作に通じる魔術的な時間の中で、観客は、二人が過ごす親密な時を共有するという貴重な体験を得る。
© Homegreen Films, 2014
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