ジャック・タチの創作活動に大きな貢献を果たしたとされるピエール・エテックス。その多彩な才能は、長らく日本で知られぬままでした。2007年のカンヌ映画祭でデジタル修復版『ヨーヨー』が蘇り、その類いまれな映像センスとギャグ感覚に、改めて世界の注目が集まりました。 日本初上映となる2作品の上映で、この稀代のマルチクリエイターの魅力を紹介します。
「特集上映ピエール・エテックス」はメモリー・シネマの協力により実現しました。
ピエール・エテックス全作品はスチュディオ37、テクニカラー財団、グルパマ・ガン財団の支援によって修復されました。
『ヨーヨー』 Yoyo
監督:ピエール・エテックス (Pierre ÉTAIX)
『大恋愛』 Le Grand Amour
監督:ピエール・エテックス (Pierre ÉTAIX)
ピエール・エテックス(Pierre ÉTAIX) プロフィール
1928年生まれ。
漫画家、イラストレーターとして生計を立てていたところにジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』と出会い、映画の道に進むことを決意。『ぼくの伯父さん』(58)の撮影現場では助監督や俳優を務めたほか、世界的にも有名なポスター・イラストをデザインした。
その後、アカデミー賞短編映画賞を受賞した『幸福な結婚記念日』(62)などの短編を監督し、「Le Soupirant」(62)で長編デビュー。同作はベルリン映画祭のコンペティション部門で上映され、『女はコワイです』という邦題で日本公開もされている。
1964年にはサイレント喜劇のスタイルを踏襲し、子どもの頃に道化師に憧れた自身の体験を色濃く反映した『ヨーヨー』を発表。カンヌ映画祭のコンペティション部門で上映された。トリュフォーは「すべてのショット、アイデアが好きな美しい映画。多くのことを私に教える」と絶賛している。4作目となる代表作『大恋愛』(69)もカンヌ映画祭のコンペで上映され、大きな話題を呼んだ。
その後、長編劇映画の演出から離れる。同時に権利関係の複雑さから、フランス国内でも長らくエテックス作品の上映機会は恵まれなかった。その間も、エテックスの作品を強く支持する映画作家の作品に俳優として出演を続ける(大島渚『マックス、モン・アムール』、アキ・カウリスマキ『ル・アーブルの靴みがき』など。『フェリーニの道化師』では本人役で出演)。2009年にはミシェル・ゴンドリーやミシェル・ピコリ、デビッド・リンチ、ウディ・アレンなど多くの著名な映画人や映画ファンが、エテックスへの権利返還を求める陳情の署名活動を行った。
2007年には『ヨーヨー』が、2010年には『大恋愛』がそれぞれデジタル修復され、カンヌ映画祭クラシック部門で上映され好評を博した。またパリでは特集上映とあわせてエテックスのイラストや撮影した写真で構成された展覧会が開催された。世界各地での再評価の機運が高まっている喜劇映画の名匠であり、多彩な才能を誇るマルチクリエイターである。
連動上映:フレンチタッチ・コメディ!
11月13日(金)、15日(日)、20日(金)、24日(火)、26日(木)
12月4日(金)、5日 (土)、6日(日)、11日 (金)、13日 (日)、18日(金)、19日(土)、20日(日)
アンスティチュ・フランセ東京にて開催
特別ゲスト:ジャン=ジャッキー・ゴールデベルグ(映画監督、「レザンロック」誌編集委員)
コメディは、フランス映画の中でも最も人気のあるジャンルです。誕生時から「笑い」はフランス映画と共にあり、トーキーの到来とともに、粋な言葉のやり取り、ユーモア溢れる音響効果などによってフレンチタッチのコメディが次々に変革されていきました。そしてここ数年で、若い世代の監督や俳優の台頭によってさらに新しいスタイルのコメディ映画が作られています。ピエール・エテックス監督作品を中心に、30年代から現在までのフランスのコメディ作品のえり抜きを紹介いたします。
お問い合わせ先:アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500 / www.institutfrancais.jp/tokyo)