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2006年11月26日

『世紀の光』Q&A

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『ブリーフリー・ユアーズ(02)』、『トロピカル・マラディ(04)』で2度の東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞しているアピチャッポン・ウィーラセタクン監督が、最新作『世紀の光』の上映後、舞台に登壇し、熱心なファンとのQ&Aを行いました。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督(以下、アピチャッポン)
「皆さん、ご来場ありがとうございます。今ご覧いただいた映画は、私にとっても特別な作品で、この場で上映していただけたことをとても嬉しく思います」

市山尚三プログラム・ディレクター(以下、市山)
「今日のラインナップ3本は、モーツアルト生誕250周年記念の作品です。『世紀の光』はこのプロジェクトを受けてから作り始めたのでしょうか?」

アピチャッポン
「そうではないです。前の年の新年に家族旅行をしていた時、大きな津波がありました。 “亡くなった人”“なくなったもの”についてすごく考えさせられて、“時代の変遷”について描きたいなと思いました」

Q
「タイトル(英題:Syndromes and a Century)の意味を教えてください。また、なぜ病院を舞台に選んだのでしょうか」

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アピチャッポン
「作り始めた当初は違うタイトルだったのですが、撮影を進めていく内、色々な要素がつまっている映画だと感じるようになりました。前半部分の”Syndromes”はまさに愛の症状を表しているといえます。そして”Century”は、未来はどのようなものであるか考えたいという気持ちを表しています。また”Century”=世紀は、ほぼ人間の一生に値するのではないかと考えました。
病院を舞台に選んだのは、医者である両親に対する思いからです。わたしも、(前半部分のような)ああいうところに住んでいたので、とても親しみを感じています。登場人物が回想していくシーンがありますが、あれは建物や人生の変化や、そのサイクルを表しているのです」

Q
「監督の映画には、医者と患者のシーンがよく出てくるように思われるのですが、何かを象徴しているのですか?」

アピチャッポン
「病院は自分の育った環境なので、良い思い出がたくさん残っています。少年時代を過ごした故郷に最近帰ったら、昔とは大分変わっており、時間の変遷を感じました。この映画は、両親にささげる映画ですので、両親との思い出を象徴しているといえます」

Q
「監督の映画では、様々な音楽が流れていますが、普段はどのような音楽を聴きますか?」

アピチャッポン監督
「個人的には、電子音楽のようなものをよく聴きますが、色々聴きますよ。エンドロールの音楽は、実は日本のNEIL&ILAIZAというバンドの曲なんです」

ファンの方々からの質問は、時に鋭く、時にあたたかく、アピチャッポン監督の作品を解釈しようとしている様子が伝わってきました。これからも、観客の想像力を刺激する作品を作り続けていってほしいと強く願っています。

(取材・文/今坂千尋)

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投稿者 FILMeX : 2006年11月26日 16:00


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