2006年11月26日
授賞式、クロージング・セレモニー
11月17日から10日間行われた第7回東京フィルメックスも、無事に最終日を迎え、有楽町朝日ホールでは授賞式が行われました。クロージング作品『黒眼圏』の上映を前に、会場は満員の観客の熱気に包まれました。
まず林 加奈子ディレクターが登壇し、満場の観客に感謝を述べた。
「第7回東京フィルメックスもとうとう最後の作品となりました。34本目、クロージング作品『黒眼圏』の上映の前に受賞作品を発表したいと思います。審査員の方々、すばらしい観客の皆様、すべての方々に御礼申し上げます。また、80人のボランティアスタッフの皆さんもありがとうございました。皆様にとって、東京フィルメックスが世界で一番楽しい映画祭であることを願っております。今後も映画の力、映画の未来を信じて、心を豊かにしてくれる映画を紹介し続けていきたいと思います。ありがとうございました」
第7回東京フィルメックス・コンペティションでは、出品された9作品の中から、キム・ドンホ(審査委員長/プサン映画祭ディレクター)、クリス・フジワラ(映画評論家)、オ・ジョンワン(プロデューサー)、大島ともよ(映画編集者)、諏訪敦彦(映画監督)ら5人の審査員の厳正なる審査の上、最優秀作品賞、審査員特別賞『コダックVISON アワード』が選ばれました。
最優秀作品賞を受賞したジャムシェド・ウスモノフ監督『天国へ行くにはまず死すべし』の撮影監督パスカル・ラグリッフルさんが登壇し、ウスモノフ監督の喜びのメッセージを読み上げました(ウスモノフ監督のメッセージは『審査結果』記者発表参照)。
[受賞理由:その計画的な知性、登場人物との環境の流動的でダイナミックな関係性を捉える話法。監督自身の人間性に対する真摯で力強い視点を高く評価します]
審査員特別賞を受賞した『アザー・ハーフ』のイン・リャン監督は、「昨年フィルメックスから大きな励ましを受けたおかげで、安心してプロの監督として制作に打ち込むことができました。改めて、皆様に心から感謝し、これからも努力して新しい作品を撮っていきたいと思います。楽しみにしていて下さい」とコメントした。
[受賞理由:非常に厳格で力強い映画的フォルム。その繊細な物語的話法と、社会的コミュニケーションに対する新鮮なアプローチを高く評価します。次回作を心から楽しみにしています]
観客の投票によって選ばれるアニエスべー・アワードに輝いたのは、ジャファル・パナヒ監督の『オフサイド』。今回来日のかなわなかったパナヒ監督に代わって、マニ・ハギギ監督が登壇し、メッセージを紹介しました。
「私は自分の作品の成功は日本から始まっていると思っています。最初は10年前の『白い風船』が東京国際映画祭でグランプリを取ったことでした。今日、アニエスべー・アワードを受賞し、10年前にいただいた賞が間違っていなかったとわかり、嬉しく思います。今回、映画祭に是非とも参加したかったんですが、まだまだ多くの旅を続けなければならず、参加できませんでした。近い内に日本にも行ってみたいと思います。ありがとうございました」(パナヒ監督)
最後に、キム・ドンホ審査委員長が総評を述べました。
「今回受賞した方々にはお祝いの言葉を、東京フィルメックスが成功のうちに終了をむかえることを心より祝福します。また、私達に審査のチャンスを与えてくれた、主催者の方々にも感謝します。我々5名は平等に民主的に審査を行いました。コンペティション9作品はどれもすばらしく、苦労しました。私達5人に苦労をさせてくれた“親切なクムジャさん”ならぬ“親切な林さん”にも御礼を申し上げます(会場、笑)。また、すばらしい観客の方々も、ありがとうございます。皆さんの質問のレベルは本当に高く、これから一層フィルメックスの発展が臨めそうだと感じました。もう一度、この場を借りて、林さん、スタッフ、ボランティアの皆さんに感謝します。これからも多くの作品に愛情を注いで下さい」
盛況の内に終了した、第7回東京フィルメックス。皆さんの心に、“世界一楽しい映画祭”として、第7回東京フィルメックスの思い出が残ればと願っています。
(取材・文/今坂千尋)
投稿者 FILMeX : 2006年11月26日 20:00