デイリーニュース

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2006年11月22日

『マキシモは花ざかり』Q&A

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フィリピンのマニラを舞台にした『マキシモは花ざかり』は、スラムに暮らす人々の生き生きとした姿が印象的な作品。とりわけ、女の子の格好をするのが大好きな主人公の少年マキシモの愛らしさは多くの観客の心をとらえたようだ。沖縄に何度も滞在しているというアウレウス・ソリト監督は、上映終了後のQ&Aで「こんにちは、ハイサイ!」と沖縄方言で挨拶し、会場を沸かせた。

 まず市山尚三プログラム・ディレクターが、今回の作品を監督することになった経緯を聞いた。
「私はパラワンの民族についてのドキュメンタリーを撮ってきたので、今度は劇映画を作りたいを思っていました。フィリピンの神話的な時代についての映画ですが、この企画には資金が集まりませんでした。ある時先住民族の映画祭に呼ばれ、彼らが非常に進歩的なゲイ・ムービーを作っていることに驚き、自分でもこのような映画を作りたいと思いました。その後マニラに戻ると、ちょうどこの脚本が持ち込まれたというわけです」
また、小さなカメラを使用しているという指摘には、「デジタルカメラはいろいろな場所に入り込めるのが利点」と答えた。「35mmのカメラを持ち込んだら家が壊れてしまうようなところなのですが(笑)カメラが小さなおかげで、近所の人々の日常生活を撮影することができました」

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 観客から、脚本のミチコ・ヤマモトについて訊かれると、「日本人のミニマリズムとフィリピン人の活気を両方持ち合わせた脚本家」と評した。
「ヤマモトさんは半分日本人、半分フィリピン人の方で、国内外でたくさんの賞を取った『マグニフィコ』(注:マーリョ・J・デ・ロス・レイエス 監督作品。2003年アジアフォーカス福岡映画祭で上映)の脚本を手がけています。彼女の脚本に資金を出したのはプロデューサーのレイモンド・リー氏で、彼が私を監督に指名してくれたのです」
 また、沖縄との関わりを尋ねる声も挙がった。
「山形で作品が上映されたことがきっかけで、沖縄に滞在する機会を得ました。沖縄は私に非常に合う土地柄で、今年も4ヶ月を過ごしました。沖縄の儀式を研究していて、これをもとに何か映画を作りたいと思っています」

 マキシモ役を始め、魅力的なキャスト陣についての質問も。
「マキシモ役のために100人の少年をオーディションしました。また街を歩いているゲイのグループにも声をかけました。ところが本物のゲイの少年たちは過剰な演技をするので、それが気に入りませんでした。たまたま他の作品のオーディションに来ていた少年に女の子の格好をさせてみたところ、非常にうまく行きました。彼は脚本を読んでやりたくないと言ったのですが、親に説得されて引き受けることになったんです。
 ビクトル役の俳優は元々肉体派のモデルをしていて、映画スターとしてデビューすることに決まっていました。私は新人俳優の演技指導をしていて彼と出会いました。彼の演技を見るとみんな涙してしまうほどすばらしくて、”私のメリル・ストリープ”と呼んでいます(笑)」

 終始明るい笑顔をふりまきながら質問に答えたソリト監督。日本に住む従姉妹が会場に駆けつけ、再会を喜び合う一幕もあった。

(取材・文:花房佳代)

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投稿者 FILMeX : 2006年11月22日 19:00


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