2006年11月23日
『相棒?シティ・オブ・バイオレンス―』Q&A
上映後、映画の興奮が冷めやらぬ中、舞台上にリュ・スンワン監督が登場し、客席に集まった多くのお客様とのQ&Aが行われました。スンワン監督は「第1回東京フィルメックスでも上映していただいた『ダイ・バッド 死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか(00)』のときは、平日でお客様も少なかったのですが、今日はたくさん来ていただいて、6年前のことは忘れました(笑)ありがとうございます」と挨拶。
Q:素晴らしいアクションでした。監督はどこかでアクションを練習されたんですか?
――僕は幼い頃、クンフースターになりたいと思って道場で練習していましたが、誰もスターになれと言ってくれる人が現れなかったので、自分で撮ることにしました。
Q:監督の映画は、女性が主人公のものがあまりないと思うのですが、どうしてですか?
また、メロドラマなどを作る予定はありますか?
――僕の2作目(『血も涙もない(02)』)は2人の女性が主人公です。僕は女性がアクセサリー的に出てくるのは嫌いなので、そういう意味で、描くなら能動的なキャラクターにしたいと思っています。
僕もいつか殺人事件のおきない映画を撮りたいと思っています。床が血でべとべとになるのにはウンザリです(笑)でも作るとしても、型にはまったものにはしたくないですし、大分先になると思います。
Q:『キル・ビル』を思い起こさせるシーンがありました。どのようなところに独自性を持たせましたか?
――それはよく言われるんですけど、同じ内容を描いた聖書とコーランの違いのようなものではないでしょうか。でも2つの大きな違いは、『キル・ビル』が個人的恨みから暴力に向かっているのに対して、『シティ・オブ~』は資本主義社会の悪から暴力に向かっています。60年代香港のショウ・ブラザーズのような映画です。
Q:ラストシーンの4人の敵とのアクションシーンが見事でした。苦労したことはありましたか?
――このシーンは、本当に撮影の最後の最後に撮ったので、アイデアが尽きてどうしようかと思いました。最初のほうで技を小出しにしてれば良かったと…(笑)俳優にも新しい技を何か見せてくれとお願いしたり。それでも限界になったので、助監督と相談して「結局アクションとは感情だ」という結論に達しました。クローズアップを多用しているうちに、登場人物が死んでいってくれました。
会場に何度も笑いが起き、Q&Aは和やかなムードで終了しました。どんな質問に答えるにもユーモアを交えることを忘れないリュ・スンワン監督の姿が印象的でした。
(『相棒-シティ・オブ・バイオレンス』は2007年3月からシネマート六本木で公開予定)
(取材・文 今坂千尋)
投稿者 FILMeX : 2006年11月23日 22:00