世界の映画祭だより

2009年01月20日


第38回ロッテルダム国際映画祭 開催

第38回ロッテルダム国際映画祭(2009年1月21日~2月1日) 開催

ロッテルダム映画祭は、新鋭の才能を紹介し、また世界の作家たちの果敢なチャレンジを応援するという方向性が特色で、アジア映画を継続的に取上げてきている。

前回、暫定的に映画祭ディレクターの任にあたったRutger Wolfsonが正式にディレクターに任命され、映画祭の真価を伸ばすため、プログラム構成について抜本的な合理化をはかっている。昨年の9部門から3部門(Bright Future, Spectrum, Signals)に統合した。Bright Future部門は新人監督を取上げ、その中に長編と短編のコンペが含まれる。Spectrum部門は気鋭の作家たちを対象とし、Signals部門では企画特集やレトロスペクティブを行なう。プログラムをシンプルにして、映画の芸術性や可能性を尊重する姿勢を明確に打ち出していく方針とのこと。

長編コンペ(タイガー・アワード)は、日本映画「不灯港」(内藤隆嗣監督、PFFスカラシップ作品)を含む14本が対象となる。なかでも、アメリカの俳優マイケル・インペリオリの初監督作「The Hungry Ghosts」は映画祭のオープニング作品も兼ねており、話題を集めている。またアジア作品が多く、イラン、インドネシア、韓国、中国のほか、台湾からは俳優レオン・ダイ(戴立忍)の監督2作目「No puedo vivir sin ti」が取上げられている。

Bright Future部門では、第9回東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞した中国映画「サバイバルソング」(ユー・グアンイー監督)や、日本からは「へばの」(木村文洋監督)「ジャーマン+雨」(横浜聡子監督)などのほか、オダギリジョーの長編初監督作「さくらな人たち」もお目見えする。また、第9回東京フィルメックスでも好評を博した「ノン子36歳(家事手伝い)」(熊切監督)は、Spectrum部門で上映される。

Signals部門では、レトロスペクティブとしてイエジー・スコリモフスキー、Paolo Benvenuti(イタリア)、Peter Liechti(スイス)の3監督を取り上げる。テーマ企画としては、上映フォーマットについての実験的なアプローチを試みる<Size Matters>、最近の東アジアのホラー映画を特集する<The Hungry Ghosts>、イオセリアーニからポン・ジュノまで一線で活躍している巨匠たちの処女作を集めた<First Things First>や、躍進目覚しいトルコ映画を紹介する<Young Turkish Cinema>、映画製作についてのドキュメンタリーや修復された作品を上映する<Regained>など、多彩なラインナップとなっている。

注目のイベントとしては、<Size Matters>では、市内中心部のオフィスビルの外壁に設置された巨大スクリーンに、今回のために依頼して作られた、ガイ・マディン、カルロス・レイガダス、Nanouk Leopoldによる作品が上映されるとのこと。

また、<The Hungry Ghosts>では、タイ、インドネシアなど東南アジアを中心近年の話題作を集め、日本からは「悪夢探偵2」(塚本晋也監督)、「ラザロ」3部作(井土紀州監督)がラインナップされているが、特集の一環として、ガリン・ヌグロホやリリ・リザ、アミール・ムハマドなど東南アジアの気鋭の映画作家たちによる”お化け屋敷”のエギジビジョンも行なわれる。
(報告者:森宗 厚子)


ロッテルダム国際映画祭公式サイト

(終了後に映画祭レポートをお送りします。)

投稿者 FILMeX : 16:19



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