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日本映画史に足跡を残す巨匠たちに、これまでと違った側面から光をあてて、新たな魅力を再発見する本特集では、清水宏、内田吐夢、中川信夫、岡本喜八、山本薩夫といった作家の傑作を東京国立近代美術館フィルムセンターとの共催で紹介してきました。
その反響は国内にとどまらず、ベルリンやロッテルダム、香港など世界各国の映画祭での特集上映の巡回につながっています。
今年は蔵原惟繕監督(1927-2002)の傑作の中から、1950年代-60年代にかけての日活において、石原裕次郎主演のヒット作を生み出す一方で、個性的な作品を精力的に製作していた時代に焦点を絞り、12本をご紹介いたします。
これらの作品群に共通する蔵原作品の魅力―時代の持つ雰囲気、熱さ、脱出願望などを、代表作のひとつ「狂熱の季節」と重ね合わせて特集のタイトルとしました。
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一方で、世界の知られざる偉大な映画作家や、ある国や地域で起こったニューウェイブを日本の映画ファンに紹介する特集上映も好評を得ています。
ソフラブ・シャヒド=サレス(イラン)、ニルキ・タピオヴァーラ(フィンランド)、ガイ・マディン(カナダ)、ボーディ・ガーボル(ハンガリー)、リッティク・ゴトク(インド)などの映画作家、また60年代の知られざるロシア映画やイスラム革命前のイラン映画、30年代-50年代にかけてのスイス映画の特集上映などで、新しい映画の世界を観客のみなさまに提示してきました。
今年はブラジルの独創的な映画作家であるジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督(1932-1988)を特集します。2008年は日本人がブラジルに移民してから100周年という記念の年にあたり、ますます友好の気運が高まっています。
しかし、なかなかブラジル映画に触れる機会は多くありません。中でも、アンドラーデはこれまで日本の映画ファンにとっても知られざる作家でした。
イタリアのネオレアリズモやフランスのヌーヴェルヴァーグの影響の下に、ブラジルでもシネマ・ノーヴォと呼ばれる、世界の他の地域でも見られるような映画運動が起こりました。その中で、アンドラーデはネルソン・ペレイラ・ドス・サントスやグラウベル・ローシャと並び称されました。
2006年のヴェネチア映画祭において、デジタル修復されたアンドラーデ作品がお披露目され、その個性的な作風に多くの人々が魅了されました。2007年にもニューヨーク映画祭で上映されて大きな反響を呼んだ傑作のうち、長編劇映画、ドキュメンタリー、短編などを幅広く紹介します。
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特集上映の詳細なラインナップは、後日発表いたします。
どうぞご期待ください。
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