アミール・ナデリ監督の1970年代にイランで監督した初期作品と、今年、カンヌとヴェネチアで相次いで上映された脚本作と監督最新作を上映します。
イラン / 1973年 / 114分
監督:アミール・ナデリ(Amir NADERI)
狡猾な商人たちの企みによってその全ての財産を奪われた男の復讐を描くナデリの監督第3作。鮮烈なバイオレンス描写が全編に炸裂する。1970年代イラン映画のスター、ベヘルーズ・ヴォスーギが怒りに燃える主人公を演じ、公開当時大ヒットを記録した。
イラン / 1974年 / 75分
監督:アミール・ナデリ(Amir NADERI)
ペルシャ湾に面した海辺の村を舞台にハーモニカの所有をめぐって子供たちが引き起こす騒動を描く。見方によっては強権的な政治体制のメタファーのようにもとれる作品。ドキュメンタリー的にとらえられたイラン南部の人々の生活の描写も興味深い。
イラン / 1974年 / 43分
監督:アミール・ナデリ(Amir NADERI)
“映像詩”という言葉が完璧に合致する美しい作品。イラン南部の海辺の村を舞台に、氷でいっぱいにしたガラスの器を氷がとけないうちに家に持ち帰ろうとする少年の行動を一切の台詞を排して描く。少年が遭遇する神秘的な宗教的儀式が強烈な印象を残す。
アメリカ / 2018年 / 102分
監督:ラミン・バーラニ(Ramin BAHRANI)
脚本:アミール・ナデリ(Amir NADERI)
提供:スターチャンネル
書物を読むことが禁じられた世界で、書物を燃やす職業“ファイアーマン”として働く男の姿を描くレイ・ブラッドベリのSF小説「華氏451度」の再映像化。アミール・ナデリが脚本を担当。カンヌ映画祭でワールドプレミア上映を飾った。
アメリカ / 2018年 / 88分
監督:アミール・ナデリ(Amir NADERI)
ナデリが『ベガス』(08)以来久々にアメリカで撮影した最新作。古びた映画館で映写技師として働く若者を主人公に、現実と幻想、映画へのオマージュが混淆された現代のお伽噺。ジャクリーン・ビセットが出演しているのも見どころ。ヴェネチア映画祭で上映された。
アミール・ナデリ Amir NADERI プロフィール
1945年、イランのアバダン生まれ。アッバス・キアロスタミやモフセン・マフマルバフらとともにイラン映画が国際的に脚光をあびるきっかけをつくった。テヘランでスチール・カメラマンとして活動後、「Khoda Hafez Rafig (Good Bye Friend)」(71)で映画監督デビュー。『ハーモニカ』(74)以降は主に児童青少年知育協会をベースに活動する。『駆ける少年』(86)、『水、風、砂』(89)は両作ともナント三大陸映画祭グランプリを受賞、世界的にも高く評価された。その後アメリカに移住、現在はニューヨークを拠点に活躍している。日本でも劇場公開された『マンハッタン・バイ・ナンバーズ』(93)、カンヌやサンダンスで上映された「A, B, C ... Manhattan」(97)、『マラソン』(02)はニューヨーク三部作として高い評価を得ている。東京フィルメックスでは『マラソン』の他、『サウンド・バリア』(05)、『ベガス』(08)、『CUT』(11)、「山<モンテ>」(16)を上映。『CUT』は日本、「山<モンテ>」はイタリアで撮影された。監督最新作「マジック・ランタン」(18)はヴェネチア映画祭で上映された。