2007年11月24日
11/24 『むすんでひらいて』Q&A
11月24日、有楽町朝日ホールでの『むすんでひらいて』上映後、舞台挨拶にも登壇した高橋泉監督が再び登場。この作品は『ある朝スウプは』で鮮烈なデビューを飾り、世界的に高く評価された高橋監督の第2作で、鍵を取り違えたことから登場人物たちの関係に徐々に変化が訪れ…という群像劇。上映後、観客とのQ&Aが行われた。
まずは市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクターが『むすんでひらいて』を作ったきっかけを聞くと、「僕は脚本だけ書いて監督はやらないつもりだったんですけど、廣末が監督をやっている姿を見てまたやってみようかなと思いました」と答えてくれた。
次に物語の着想については、「なくした鍵をまったく知らない人が持っている場合とうっすら知っている人が持っている場合ではどう違うか。知っている人が持っている場合は、だいたいこんなことが起こるんじゃないか…というところから物語をふくらませていきました」と高橋監督。
観客から質問を募ると、衝撃的なラストシーンについての質問が相次いだ。この作品では今にも爆発しそうな登場人物たちの心の揺れ動きが極度の緊張感をもって描かれるが、最後はファンタジックとも言えるトーンに一転して見る者を驚かせる。
「CHARAの「手をつなごう」をBGMにしたのは、ファンタジーの要素を強めるための演出ですか? 監督は日本のポップスが好きなのでしょうか?」という質問に、高橋監督は「あの曲はもともと考えていたものではなく、映像ができてからつけたものなんです。むしろ抵抗の方が強かったんですが、他にしっくり来る曲がなかったんですよね」と答えた。
また、「あのラストシーンは初めから決めていたのですか?」という質問には、「編集段階で決めました。結果的に脚本に書かれていたラストとは違うものになってしまいましたね。撮影はしていたんですが使わなかったんですよ」と高橋監督。別バージョンのラストについては、幸運にも会場に居合わせた観客だけにこっそり明かされた。
『むすんでひらいて』の劇場公開は今のところ未定。「お知り合いの映画関係者にぜひ宣伝を(笑)」と会場に向けて市山Pディレクターが呼びかけた。高橋監督の確固たる演出力を証明したこの作品が、多くの映画ファンに届くことを祈りたい。
(取材・文:今井 祥子)
投稿者 FILMeX : 2007年11月24日 17:00