世界の映画祭だより



2005年03月07日
第23回ファジル国際映画祭 レポート

開催期間:2005年1月31日?2月10日 (マーケット開催期間:2月4日?8日)


今年からコンペティションに2部門を新設して、より大きな成長を目指したファジル国際映画祭が、今月10日に閉幕した。新設されたのはスピリチュアル・シネマ部門とアジアン・シネマ部門。映画祭事務局からのニュース・リリースはもちろん、期間中に連日発行されるデイリーニュースや、クロージングセレモニーなどのイベントの際にも、この2つの新設部門を積極的にアピールしていた。
受賞結果については下に報告してある通りだが、この"改革"によって上映作品数は増加し、主催側が目指す「より大きな映画祭としての存在感」に近づいたものと言える。今年からクロージング・セレモニーが2日間に分けて行なわれたことも、その拡大路線を象徴している。最終日には従来の目玉部門である(イランのアカデミー賞とも言える)国内コンペティションの各賞が発表される「ナショナル・セレモニー」が行なわれたが、その前日には今回の新設2部門や国際コンペティションなどを併せて表彰した「インターナショナル・セレモニー」が行なわれた。単純に眺めればセレモニーが増えて華やかになったとも考えられるが、実際には国際コンペティションのために映画祭に出席した海外ゲストは少なく、代理受賞が数多く見うけられて盛り上がりに欠けた点も指摘できる。
ロッテルダム映画祭とベルリン映画祭という強力な2つのヨーロッパの映画祭に挟まれた日程の中で、今後、新設の2部門を含めて国際コンペティションがもっと海外ゲスト・出品側にとって魅力ある部門となることが重要な課題であろう。

映画祭期間中には、約30年振りとも言われる記録的な大雪に街中が真っ白に包まれたが、観客は例年通り熱狂的に映画祭を迎え入れていた。市内各所の一般の映画館が映画祭の会場として使用されているのだが、どこもチケットを求める観客で大にぎわいである。
10日後の2月19日(イスラム暦のため、毎年若干変わる)が、イランのもっとも重要な宗教儀式のひとつであるアーシュラーの日にあたり、町中は赤や緑などの原色のネオンサインで色とりどりにライトアップされて、華やかな雰囲気に包まれている。ファジル映画祭はこの熱狂的な1日を華やかに演出するイベントとして、市民から熱烈に受け入れられている。

続きを読む "第23回ファジル国際映画祭 レポート"

投稿者 FILMeX : 18:00

2005年02月01日
第23回ファジル国際映画祭 開催

23rd Fajr International Film Festival Programs
2005/1/31-2/10

http://www.fajrfilmfest.com/index-eng.htm

イランの首都テヘランで開催されているファジル国際映画祭が、1月31日より開幕する。イランの国家的事業の一つであるこの映画祭では、毎年30本前後ものイラン映画の新作がプレミア上映されており、世界の映画関係者の注目を集めている。
ファジル映画祭には、各種のコンペティション部門が設けられているが、メインは、イラン映画のみを対象とした国内コンペティションと、外国映画を含めた国際コンペティションである。国内コンペでは、作品賞や監督賞などの他にも、撮影や編集、音楽などの技術スタッフの各賞も選考しており、イラン版アカデミー賞とも言える盛り上がりをみせている。

今年からスピリチュアル・シネマ、アジアン・シネマという2つのコンペティションが新設された。これらの部門にどのような作品が集められたかというのも、映画祭の成功を判断する上でも興味深い。

今回、プレミア上映されるイラン映画のうち、日本でも馴染みの深い名前を挙げるならば、『運動靴と赤い金魚』や『少女の髪どめ』などのマジッド・マジディ"The Weeping Willow"、『風の絨毯』などのカマル・タブリズィー"A Piece of Bread"、昨年のイラン映画祭2004で『低空飛行』が紹介されて、来日も果たしたエブラヒム・ハタミキア"The Color Purple"などが、国内コンペティションで上映される。

日本映画は、萩生田宏治『帰郷』が、各国の映画祭で話題になった作品を集めた"Festival of Festivals"で、菅原浩志『ほたるの星』がスピリチュアル・シネマ、栗山富夫『ホーム・スイートホーム2』がアジアン・シネマで上映される他、『呪怨』の清水崇によるハリウッド版リメイク『The Grudge』が特別上映部門で、ホウ・シャオシェン『珈琲時光』が国際コンペティションで上映される。

続きを読む "第23回ファジル国際映画祭 開催"

投稿者 FILMeX : 18:00



up
back

(c) TOKYO FILMeX 2009