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「第15回東京フィルメックス」
「学生審査員賞」審査を終えて


東京学生映画祭の主催による「学生審査員賞」を、2011年に創設しました。 審査員を務めた3名の学生審査員より、「審査を終えて」のコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。
ここにもある通り、審査は大変に白熱し、充実したものとなりました。 彼らの熱い気持ちが作り手や、観客の皆様に届くことを願ってやみません。 次回の学生審査員にご興味をお持ちになった学生の皆様は、東京学生映画祭にお問い合わせください。

東京学生映画祭 » http://www.tougakusai.jp/

各学生審査員コメント
»清水俊平(SHIMIZU Shumpei) »大河原恵(OOKAWARA Megumi) »千葉花桜里(CHIBA Kaori)


清水俊平(SHIMIZU Shumpei)


東京藝術大学大学院映像研究科
監督作品:『ふざけるんじゃねえよ』/第26回東京学生映画祭 実写部門 グランプリ受賞
映文連アワード2014 パーソナル・コミュニケーション部門 部門優秀賞受賞


ささやかな自主映画を一本しか撮ったことのない私にとって、東京フィルメックスでの「審査員」という肩書きは、なんともくすぐったいものでした。
そうそうたる国際審査員に混じって、アマチュアの私に何が出来るのだろう?と映画祭当日まで考えつつも「作品を審査することは、自らと向き合うことに他なりません」というフィルメックスの林加奈子ディレクターの言葉を思い出し、一本目のコンペ作品に臨みました。

映画を審査することは、鏡を見ることと、意外と似ていました。見れば見る程、自分自身の輪郭が色の濃いものとして浮かび上がったり、逆に分からなくなったりもします。 特に、作家として作品を審査するとういう映画体験は、他者を見つめることで自らを知るという作業と同義でした。そして、他者に向けられたその眼差しは、必ず自分の作品に対する糧となって跳ね返ってくることと思います。

現実の奥に潜む真実を炙り出す手腕や、巧妙な映画的アイデアを嗅ぎ分ける嗅覚。観客にどのような芝居を、どのようなフレームで提出することが胸躍るようなワクワクや驚きに結びつくのかを緻密に計算された作品群を浴びるように観るフィルメックスは、とても刺激的でした。登壇をする監督やスタッフも、各作品ごとにキャラクターが面白いように分かれるのですが、この監督だからあの作品なのだろう、と言語化は出来ずとも、「におい」のようなものをその場で感じることが出来ました。

映画が歪みと穴ボコだらけの現代社会を映す鑑であると同時に、作家の体験や人格そのものを他の表現よりも鮮明に表すことが出来ると、今回のフィルメックスは私に確信をさせてくれました。十一月の東京、有楽町では、映画が高らかに勝利を宣言し、来年も再来年も、それは継続をしていくことと思います。今回のかけがえのない映画体験を糧に、私も必ずこの舞台に、作家として戻ってきたいと思います。

最後にはなりますが、フィルメックス及び東京学生映画祭のスタッフには、心から感謝を申し上げます。本当に有り難うございました。
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大河原恵(OOKAWARA Megumi)


多摩美術大学3年
監督作品:『襟売ってよ』/第26回東京学生映画祭実写部門本選出場


学生という時間を過ごしているこの距離で、東京フィルメックス学生審査員としてこの一週間、さまざまな映画に出会えたこと、そしてその中でさまざまな瞬間景色距離人間時間価値観感情に出会えたこと、わたしにとって大変大変、激動あっぱれ財産でした。

(あたりまえのことなのですが)わたしの手の届かない範囲、知らない時間にも映画はたくさん撮られていて、見るまで知らなかったこと、瞬間をわたしはそこで知れたりする、知れたりする、何かを思ったりする、ふと、学生審査員として参加した東京フィルメックスで、海をこえて出会えたりする、その時間を一緒に観客席隣どおして過ごした仲間とあーだこうだ、言葉をかわす、という時間に出会う、とてもなんだか、せまい範囲で日常を考えていたわたしにズドン、自分にはまだまだ知らないことがたくさんあるのである、とズドン、思い知らされた時間でもありました。
もっと思い知らされたい、もっと出会いたい、そうしてわたしは映画をつくることをつづけていきたい、と思いました。

大変革な機会を与えてくださったスタッフの方々、 心から、ありがとうございました。 大変大変、感謝申し上げます。
またお会いできますよう、精進するとともに、ふらっと再び映画を観に有楽町同じ季節、足を運びたいと思っております。
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千葉花桜里(CHIBA Kaori)


日本大学3年
第26回東京学生映画祭企画委員代表


1年前、一観客として座っていた席に、今年は学生審査員として座ることができたこと、本当に嬉しく思います。
それぞれの作品からあふれ出る力と、これらの作品を集結した想いを必死に受け止めて、学生審査員の2人との語らいに臨みました。あの1週間で、私は世界を近くに感じ、そして私自身の世界は変化しました。
映画を通して知った世界、知ることの喜びと悲しみ、沢山の作品にワクワクする気持ち、思うように言葉に出来なかった無力さえも、すべてが貴重な出逢いであり、経験となりました。
あともうひとつ、学生審査員として私にできることがあるとすれば、「東京フィルメックスという映画祭は、世界を近くに感じさせてくれる映画ばかりで、そして私たち自身の世界を変えてくれるような強い力が満ちているんだよ。」と周りの友人からジワジワと伝え続けることじゃないかと...。

それでは来年、また一観客として、あの席で、新しい出逢いを、心待ちにしています。 最後になりますが、この度、関わり、お力添えくださった東京フィルメックス関係者の皆様に大変感謝しております。そして、東京フィルメックスに出逢うきっかけを与えてくれた東京学生映画祭に。ありがとうございました。
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